カンボジアへの自家用車の持ち込みとゴゴングのカジノ(カンボジアドライブ 2日目)

「このホテルは連れ込みオッケーだ。街中で見つけてきた娘を客室に連れ込んだところで、誰がキミのことを咎めたりするものか。もしなんだったら、可愛いベトナム娘が揃っているオレのアルバムのなかから、今晩のお供を選ばせてあげようじゃないか。タイの携帯電話は持ってきているか? ここに電話番号を書いておくから、気が向いたときにいつでも気軽に連絡をくれ。今晩はきっと最高の夜になるぜ!」

カンボジア・ゴゴング州のプムチャムイアム村にあるカジノホテル Koh Kong International Resort Club にチェックインをして、タイ・チョンブリー県出身のベルボーイから客室の設備について説明を受けていたところ、いきなり娼婦を斡旋された。この地球上に娼婦を斡旋するホテルがあるというウワサを耳にしたことはあったが、まさか海外生活3年目にして初めてお目にかかれるとは思ってもみなかった。とうとう地の果てにまでやって来てしまったということだろうか。

カンボジア人の女性は、やはり美白至上主義のタイ人男性たちからはウケが悪いのだろうか? タイ人のベルボーイが「ベトナム娘」という部分を強調して話していたのが可笑しくてたまらなかったが、その気がないのに見込みがある客だと思われて、その後にフォローを受け続けるのも面倒だったから、適当に聞き流しておいた。とはいえ、ホテル関係者の機嫌を損ねて、客室内に持ち込んだ私物がなくなってしまうのも困るので、「あとで連絡する」とだけ答えてその場を繕った。

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午前10時ころ、ヂャンタブリー市内にあるホテル KP Grand の食堂でアメリカンブレックファストのビュッフェを食べ、途中でガソリンを給油して、カンボジア国境へ向かった。

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昼すぎ、トラート県クローングヤイ郡のハートレック町にある、タイとカンボジアの国境に到着した。国境の街といえば交易で栄えている巨大な市場を想像するかもしれないが、カンボジア側の国境があるプムチャイイヤム村から市街地があるゴゴングまで、全幅1,900メートルもあるゴゴング川を隔てて10キロメートルも離れているため、人々の往来はなく、完全に静まり返っていた。ハートレックとゴゴングのあいだを結ぶカンボジア最長の渡河橋であるゴゴング橋は、約8億円の建設費が投じられて2002年4月に開通したが、通行料金が片道44バーツと値が張るため、この橋を使う現地人は少ない(カンボジアの主要道路にはなぜか有料の私道が多い)。

タイとカンボジアのあいだを往来する物流の経路は、タイ国道318号線が通っているハートレック村(タイ・トラート県)とプムチャイイアム村(カンボジア・ゴゴング州)の国境ではなく、そこから約220キロメートル北にあるアランヤプラテート(タイ・サゲーオ県, タイ国道33号線)とポーイペート(カンボジア・バンテイメンチェイ州, カンボジア国道6号線)の国境に集約されている。

タイ側のハートレック入国管理局へ行ってリエントリーパーミット(シングル1,000バーツ)の発給を受けてから、パスポートとクルマの国際通行許可証に出国のスタンプをもらい、6メートル幅の道路を挟んで反対側にあるハートレック税関で自家用車持出証明書の交付を受けた。

ラオスまでのドライブ

2005.06.14

いつもより少しだけ煩雑な出国手続きを済ませ、バンコク都内の戸建住宅にある門柱のような貧相な「国境ゲート」を越えてカンボジア側へ入った。

カンボジア国内走行用の仮ナンバープレート

カンボジア国内走行用の仮ナンバープレート

カンボジア側のプムチャムイアム村は、タイ側のハートレック村に輪を掛けて寂れていた。国境にある施設は、いずれも日本国内にある公立小学校の体育倉庫や簡易便所のようなありさまだった。プムチャムイアム入国管理局で到着ビザ(1,100バーツ領収書なし)を申請し、パスポートに入国スタンプをもらい、簡易便所よりさらに簡素な税関の建物へ行ってタイの自動車登録証を預けると、カンボジア国内を走行するために必要となる仮ナンバープレート(1日につき100バーツ領収書なし)が交付された。

なお、タイとカンボジアの二国間協定により、タイ人はビザなしでタイとカンボジアのあいだを往来することができる。

カンボジア入国後、国境から約200メートルのところにあるカジノホテル Koh Kong International Resort Club を通過して、そのままゴゴング市街へ向かった。ゴゴングは想像していた以上に小さな街で、テレビ局や郵便局はなかば廃墟と化しており、人々の暮らしも全体的にとても貧しい。外国人向けのゲストハウスやマッサージ屋なども見かけたが、いずれも強制収容所や豚小屋よりも劣悪な施設だった(そんな雰囲気の集落に BMW 318i が迷い込んだものだから、かなり注目された)。豪雨のなか、市街地の全域をクルマで10分ぐらいかけて見物してから、ふたたびゴゴング橋を渡ってタイとの国境があるプムチャイイアム村まで戻り、カジノホテル Koh Kong International Resort Club にチェックインした。

国境のカンボジア側にあるカジノは、どこもさまざまなプロモーションを打ち出して、タイ人カジノ客の誘致に力を入れている。さっそく、友人と15,000バーツずつを出し合って、30,000バーツの換金不能チップを購入し、無料の宿泊券と食事券を受け取って、カジノゲーム Black Jack をしてみたところ、換金可能チップを賭けて、すべて通常のチップに換え終わるまで約3時間かかり、最終的に650バーツ儲かった。

Koh Kong International Resort Club のプロモーション

  1. 換金不能チップ30,000バーツ分購入で宿泊費・食費無料
  2. 換金不能チップ20,000バーツ分購入で近くにある別のホテルの宿泊費無料
  3. 換金不能チップ100,000バーツ以上購入でバンコク-トラート間の往復航空券・宿泊費無料

※換金不能チップはゲームをしながら換金可能な通常チップに換えていくことができる

このカジノクラブは、タイ人の客をターゲットにしている。そのためタイ語が公用語になっており、英語はほとんど通じない。カジノゲームではバカラがもっとも人気があり、 Black Jack やルーレットの台はそれぞれ1台ずつしか設置されていなかった。

午後10時、カジノホテルの客室へ戻り、室内にある化粧台の上に放置したままになっていたベルボーイの電話番号が書かれているメモをゴミ箱のなかへ放り込んで、今回のカジノホテルのプロモーションやゲームの勝率について友人から話を聞いた。

4 件のコメント

  • CLMV諸国に関する限り(おそらく中国も)国境の出入りは比較的自由ですよ。のんびりしたもんです。なので、タイ人だけがビザ免除、というわけではないと思います。私自身、ラオス、タイ、ミャンマー、カンボジアなどの国境をかなり自由に往来してましたから。

  • CLMV諸国に関する限り(おそらく中国も)国境の出入りは比較的自由ですよ。のんびりしたもんです。なので、タイ人だけがビザ免除、というわけではないと思います。私自身、ラオス、タイ、ミャンマー、カンボジアなどの国境をかなり自由に往来してましたから。

  • ABOUTこの記事をかいた人

    バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。