2007年12月30日(日)

「本日は、ノック航空3208便、ハノイ行きにご搭乗くださいまして、誠にありがとうございます。当機の機長はウィチャイ、客室乗務員はソムちゃん、オーンちゃん、パットちゃん、そしてわたくし客室サービス責任者のギフトちゃんです」

ノック航空は、タイパーニット管財(タイ商業銀行系)とラダーワン投資(王室財産庁系)が出資して2004年に設立された格安航空会社(ローコストエアライン)。国内外の9都市に就航しており、機材はタイ国際航空からリースしているという。ビジネスクラスの機内食がエコノミークラス並み、エコノミークラスの機内食が有料の即席麺(60バーツ)と、サービス面でさまざまな簡素化が図られている。

今夜のベトナム行きチケットは、10月1日の予約開始とともに、友人がクレジットカード決済でオンライン予約しておいてくれた。費用はひとり3,172.67バーツで、内訳は航空運賃6バーツ, 燃油料1,500バーツ, 保険料400バーツ, 事務費300バーツ, 空港使用料1,166.67バーツ。ところが、当初予定していた午前10時15分発の DD3200 便が欠航(?)になったため DD3208 便に振り替えられ、その代わりに座席がエコノミーから Nok Plus にアップグレードされた。

はじめてのベトナム旅行に多少怖じ気づいていたが、このアナウンスのせいでいよいよ不安になった。友人に「この飛行機、本当に飛ぶのか!?」と聞くと、「さあね」との答え。成田バンコク間を結ぶ570人乗りの Boeing 747-400 が空飛ぶ貨客船なら、144人乗りの Boeing 737-400 はせいぜい空飛ぶ路線バスといったところか。

「さっき乗務員が『毛布はもってっていいけど枕は返して』と言って、これとこれ持ってきたんだけど、あの口の利き方、ふつうサービス業じゃあり得ないんだけど」

時間の経過とともに大きくなっていく僕たちの心配を余所に、ノック航空3208便は午後6時にスワンナプーム空港を離陸し、午後8時20分、ベトナム社会主義共和国首都の空の玄関口、ノイバイ国際空港に無事着陸した。

空港を出ると、発展途上国ならどこでも同じだが、タクシーの客引きが声をかけてきた。あわただしく誘導して、右も左も分からない観光客から冷静な判断力を奪い取り、値段交渉を有利に進めようとする、あれだ。結局、タクシー運転手はメーターの使用を頑なに拒み、相場12USドルのところ15USドルを請求してきた。

東アジア系の人々であれば、どうせ規則違反をするなら派手にやろうと考えそうなものだが、ベトナム人もタイ人と同じように「ささやかなボッタクリ」のためにルールを犯す人たちなんだろうか。

ハノイ市内の普通車タクシーは、どこかのホテルに所属しているようだ(軽自動車タクシーとなると、そうとも限らないらしい)。ホテル Sofitel Plaza Hanoi (1泊130ドル)にチェックイン後、ホテルのタクシーでホテル Fortuna へ向かった。ハノイ市内唯一のカジノを楽しむためだった。

ホテル Fortuna に、僕が大好きなブラックジャック台はなかった。静かなパチンコ屋といったカンジで、店内にスロットマシーンが数十台あるだけで、テーブルはバカラ台1つだけ。やむなくひとまわりして、すぐにホテルの外へ出た。

このままでは面白くないと思って、ドアマンにお勧めの観光名所を運転手に伝えてほしいと言ってからタクシーに乗り込むと、少し離れた夜店街でクルマから降ろされた。

「こうやって見ると、タイのオトコよりベトナムのオトコの方が美形の比率が圧倒的に高いような気がするんだけど・・・・・・、ちょっと難点あんのよねぇ」

週末の夜、 Hoàn Kiếm 湖と ĐÔNG XUÂN 市場を結ぶ約800mの道は、歩行者天国へと変わり、生活雑貨屋や軽食屋、土産物屋などの夜店が並ぶ。午後10時40分の気温はわずか13℃。ベトナム人の若者たちはダウンコートで寒さを凌いでいたが、友人はフェイクファー付きの薄手の上着しか用意しておらず、ガクガクと震えていた。

冬物の服は、夏服よりもオシャレがしやすい。そのことを差し引いて考えても、ベトナム人男性の容姿は(タイ人的な価値基準に照らし合わせた場合)全体的に水準が高い。顔だけのスナップ写真なら、半数はテレビ局主催オーディションの書類選考くらい通過できそう。ベトナム人女性の容姿も整っているが、それでも背の低さだけはどうしても気になる。

統計によると、ベトナム人男性の平均身長は163cm。タイ人男性の165cmと比べても大差ない。しかし、バンコクの平均身長は地方より6cm程度高いと言われており、バンコク在住の友人の目には、ベトナム人男性がタイ人男性より8cm程度低く映る。どう見たって身長が155cmあるとは思えないような「イケメン」たちがたくさんいるんだから、そりゃあ複雑な心境になるのも仕方ない。女性の平均身長も同様に低く、いわゆる「日本人タイフリーク」の一部に存在する幼児性愛者たちがこれを見たら、大喜びしてはしゃぎ回るかも。

一方、日本人男性の平均身長は170cm(20歳平均, 2005年)で、僕の身長は169cmだから、自分より背が高い人と低い人の割合は半々ぐらい。でも、ここでは僕より背の高い人が20人に1人いるかどうかといった感じで、まるで自分がバスケットボール選手並みの長身になったかのように思えた。

朝、ホテル The Siam City Suite で朝食をとってから、サヤームスクウェア(サイアムスクエア)の美容室 Art Hair 2 で洗髪とブロー(150バーツ)をした。友人(女性, 100バーツ)の方が安かったのは不思議。その後、スーパー Big-C ウォングサワーング(ウォンサワン)店で友人と別れ、ひとりタクシーでスワンナプーム空港へ向かい友人と合流した。

2007年12月31日(月)

「確かに・・・・・・あれって大袈裟じゃなかったのね」

日本人的な感覚からすると、タイの交通事情ほど無茶苦茶なものはないが、ノック航空の機内誌(タイ語)には、「ハノイの道路が渡れれば、世界中の道路を横断できる」とあった。そのときは、旅行情報誌にありがちな誇大表現くらいにしか思わなかったが、いざハノイ市内の通りを渡ろうとすると、その意味をイヤというほど実感する。

主要な交差点なのに信号機すらなく、しかも二輪車が滝のように押し寄せて来てくる。せっかくチャンスを見つけて渡ろうとしても、車線を無視して猛スピードで接近してくる自動車が予想外の動きで行方を遮る。こんなところを渡るなんて、絶対にムリだ。

午後1時、 Thánh 通りにあるベトナム料理店 Seasons で昼食をとった。地球の歩き方のレストラン一覧で上位に大きく取り上げられているためか日本人客ばかりだったが(ベトナム人男性を連れている大柄な日本人女性観光客もいた)、味の方はまあまあ。ただそれだけといった印象で、友人のガイドブック(タイ語)ではベトナム料理店のひとつといった扱いにすぎなかった。午後2時、ショッピングモール Tràng Tiền Plaza で土産物を買い漁った。種類はさほど多くなく、物価もバンコクと同じくらいだが、それなりに土産物らしいものを調達するには勝手が良い。夕方、ガイドブックに載っている店に片っ端から電話して予約を入れようとしたが、どこも席が埋まっていたため、チュックバック湖の畔にある料理店で年越しのディナービュッフェを食べることにした。

ふたつの音楽を同時に聴くのは難しい。店内のスピーカーからはニューイヤーソング(2008年1月1日参照)が、客席のすぐ真上にある液晶テレビからはラップミュージックが同時に流されていたため、気分が悪くなってホテル Sofitel Plaza Hanoi へと引き返し、ベッドに横になった。リモコンでチャンネルを換えていると、中国中央电视台4チャンネルの歌番組(中国版紅白歌合戦)の華やかさに心を奪われた。日本の NHK や韓国の Arirang TV とも比較してみたが、今年の中国中央电视台4チャンネルは抜きん出て素晴らしかった。

「屋外の騒音を室内に持ち込むの、お願いだからやめてくれない?」

午後9時、ホテル Sofitel Plaza Hanoi 1801 号室で、撮りためたビデオを眺めていたら、友人が不快感をあらわにして言った。クルマの警笛は、ベトナムでは自分の存在をアピールして事故を防ぐために使われているが、タイでは不満や敵意をアピールするときに使われる。そんな(タイ人的には)一触即発の合図ともとれる音を何時間も聞かされれば、無茶苦茶な交通事情に慣らされているタイ人だってイライラする。

午前零時、ホテル20階の BAMBOO BAR からハノイのチープな夜景を眺め、カクテルとともに新年を迎えた。