タイの学校制度 ポーウォーチョーとポーウォーソー

タイには「ポーウォーチョー」や「ポーウォーソー」という聞き慣れない学歴をもっている人が多い。

タイの学校制度は上図のとおりで、入学試験に合格すれば原則として直上の教育機関へ進学できる。タイの大学へ進学するためには、中等教育学校後期課程の卒業資格 ม.6(モーホック, สำเร็จการศึกษาตามหลักสูตรมัธยมศึกษาปีที่ 6)または 日本の大検に相当する中等教育学校後期課程卒業相当の資格 เที่ยบเท่า(ティアップタオ, เที่ยบเท่าสำเร็จการศึกษาเที่ยบเท่ามัธยมศึกษาปีที่ 6)が必要となる。

タイでもっともメジャーなのは、小学校を卒業してから中等教育学校(前期)へ進み、そのまま中等教育学校(後期)を卒業して4年制大学へ進学するというコースだ。

中等教育学校の前期課程を卒業してから、中等教育学校の後期課程へ進まずに高等専門学校の前期課程 ปวช.(ポーウォーチョー, ประกาศนียบัตรวิชาชีพ)へ進学するケースもある。ポーウォーチョーを卒業しただけではタイの大学受験資格である「モーホック」を取得できないため、そのまま高等専門学校の後期課程 ปวส.(ポーウォーソー, ประกาศนียบัตรวิชาชีพชั้นสูง)に進学するケースが多い。ポーウォーソーを卒業した学生には大学3年次への編入資格が与えられるが、その多くは進学することなくそのまま就職する道を選ぶ。

バンコク在住の日本人が通っている日本人学校の「泰日協会学校」はタイの小学校と中等教育学校の前期(中学校)に相当する教育を担っているが、タイの学校制度から外れている「インターナショナルスクール」という扱いになるため、卒業後にタイの普通科高校へ進学することはできない。泰日協会学校では中等教育学校の後期(日本の高校)に相当する教育は行っていないため、(日本へ帰国しないのであれば)通常は別のインターナショナルスクールに編入し、同時に日本の高等学校卒業程度認定試験(従来の大検, 2006年名称変更)に相当する เที่ยบเท่า(ティアップタオ, เที่ยบเท่าสำเร็จการศึกษาเที่ยบเท่ามัธยมศึกษาปีที่ 6)に合格すればタイの大学の受験資格を得ることができる。ティアップタオの資格は、学校外教育 กศน.(ゴーソーノー, การศึกษานอกโรงเรียน)で認定されれば無試験で手に入れることができるため、大学進学を確実にしたいと考えているインターナショナルスクールの生徒たちは普段通っている学校のほかにも、ゴーソーノーでの教育も週末に受けている。

ちなみに、昨晩ホーガーンカータイ大学の前にあるパブで知り合ったのは、ラーチャモンコン高等教育機関のヂャッグラポングプワナート校に通っている23歳のポーウォーソー1年生だった。それを聞いた友人の彼女でホーガーンカータイ大学商学部修士課程の学生は、「それで、23歳になるまで彼女はいったい何をしていたというの!?」と話していた。友人たちのあいだでは、この女子学生放つ雰囲気から進学前は娼婦をしていたのではないかという疑いが日に日に強まっている。

ป.4 【ポーシー】 旧制小学校卒業 (10歳までの教育)
ป.6 【ポーホック】 小学校卒業 (12歳までの教育, 小学卒)
ม.3 【モーサーム】 前期中等教育学校卒業 (15歳までの教育, 中学卒)
ปวช. 【ポーウォーチョー】 前期高等専門学校卒業 (18歳までの教育)
กศน. 【ゴーソーノー】 学校外教育課程修了 (18歳までの教育)
เที่ยบเท่า 【ティアップタオ】 後期中等学校卒業相当 (18歳までの教育, 大検)
ม.6 【モーホック】 後期中等教育学校卒業 (18歳までの教育, 高校卒)
ม.8 【モーペート】 旧制中等教育学校卒業 (18歳までの教育, 高校卒)
ปวส. 【ポーウォーソー】 後期高等専門学校卒業 (20歳までの教育, 高専卒)
อนุปริญญา 【アヌパリンヤー】 短期大学卒業 (20歳までの教育, 短大卒)
ปริญญาตรี 【パリンヤートリー】 4年生大学卒業 (22歳までの教育, 大学卒)
ปริญญาโท 【パリンヤートー】 前期博士課程修了 (24歳までの教育, 修士了)
ปริญญาเอก 【パリンヤーエーク】 後期博士課程修了 (26歳までの教育, 博士了)

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。