2003年11月2日(日)

ここバンコクには、不幸にも娼婦(売春婦)を生涯の伴侶として生活している日本人も少なくない。だからそんな日本人に会ったときの、地雷を踏んでしまうリスクは最小限に抑えたい。

今晩、日本人の友人と夕食をとっていたときに、僕が久しぶりに Go Go Bar(ゴーゴーバー) に行ってみたいと提案したところ、別の友人のカノジョの話題になった。

「知っているか? 日本人が連れているオンナが娼婦かどうかを一発で判別する方法があるんだ」

友人の話を簡単にまとめるとつぎのようなものだった。

「そんなことは、すこし考えれば分かることだ。まず、バンコクに住んでいない女性が日本人と知り合う機会なんて絶対にない。つぎに、まともな教育を受けていない地方出身者が、ここバンコクで独立した生計が立てられるわけがない」

バンコク都内における高卒もしくは中卒以下の家計簿 (最低金額で計算)
月給 ฿5,500      年次昇給なし
    アパート代 ฿2,000  冷房なしの最も安い部屋
    通勤交通費 ฿600  タイでは従業員負担が原則
    食費 ฿2,250  屋台料理1食25バーツ
    光熱費 ฿300  冷房を使わない場合
    水道代 ฿80  
    飲料水代 ฿300  タイで水道水は飲めない
収入計 ฿5,500 支出計 ฿5,530  

この計算に用いた収入は標準的、支出は極めて控えめな数字。

「したがって、両親が地方に住んでいて、親戚の家にも居候してない高卒未満の女性は、娼婦または元娼婦である可能性が高い。①家族構成と②両親の住所、それから③学歴を聞けば大抵のことは推測できる」

友人はそう結論づけた。

今日は、高等教育を受けていないタイ人がどんなに貧しいかということについて、改めて考えされられた。

その後、僕たちはパッポング(パッポン)Go Go Bar(ゴーゴーバー) へと繰り出した。しかし金に飢えた娼婦たちと話しても虚無感しか感じない。

僕は25歳の大学院生。親からの潤沢な仕送りと好待遇のアルバイトで、ここバンコクでも日本人としてそれなりに常識的な生活を送っている。娼婦なんかに頼らなくても、フツウのタイ人と友達になるだけの実力はあるし、現役大学生の友人もまだなんとか作ることができる。なによりも、金の絡まない人間味あふれる付き合いができるという点で、一般の女性は娼婦より遙かに優れていると思う。それに、僕は下半身からの精液の単純放出という作業にもあまり関心がない。そもそも、「女関係の云々」というものは、精神的支配(?)が伴ってこそ初めて痛快に感じられるものなのであって、ただ自分の性器を見ず知らずの人に突っ込めば楽しめるというものではないと思うのだが、そう考えるのは僕が異常だからだろうか?

それにしても、もし僕が35歳だったら、このバンコクという街でどうやって娯楽を見つけていけばよいかと途方に暮れるかもしれない。そういった観点からも、やはりこういった風俗店は、ある種の日本人にとっては必要欠くべからざるものなのかもしれない。

さしあたって、せっかく大学生に相手にしてもらえているのだから、今のうちに彼女たちとは仲良くやっておきたい。娼婦とではなく。

2003年12月26日(金)

どこの国にも首都圏と地方都市のあいだには経済格差があるといわれているが、タイにおける経済格差はその比ではない。その要因は、地域間にある経済発展と教育の格差。もちろん、地価にも大きな差がある。

年末が近づき、飲み会の頻度が日ごとに増している。今晩はスラウォング(スリウォン)通りにある日本料理店「伯楽」でバンコク在住日本人の飲み会に参加した。そこで話題になったのが「5ライ」という土地の広さとその値段。

この「ライ」というのは、タイ独自の面積の単位。1ライ≒1,600m2≒484坪 。つまり、「5ライ」というのは日本でいう2,420坪に相当する。この店のタイ人従業員に「5ライ」の広さを尋ねたところ「どう説明したら分からないほどの大きさ」とのこと。

なぜこの話題になったかというと、ブリーラム(ブリラム)市からクルマで30分のところにある「5ライ」の農地を10万バーツで買わないかと、ある日本人の友人が持ちかけられたから。

地方の事情に疎い僕には、この値段が妥当かどうか分からなかったが、ウドーンターニー(ウドンタニ)市郊外に広大な土地を持っている別の友人の話では、次の要素で地下が決定されるという。

①街の中心部からの距離、②隣接している道路、③インフラの整備状況

酒の席では1ライ10,000バーツが妥当ではないかという話になったが、そもそも5ライの広さの土地なんて都市部に住んでいる日本人に想像できるはずがない。携帯電話で計算してみたところ、どうやら2,420坪または約8,000メートル2に相当し、正方形の土地なら一辺の長さが95メートル。小さな野球場と同じくらいの大きさ。

この友人は、この95m×95m の土地を10万バーツ(約28万円)で購入して、耕作を小作人に任せて利益を上げようと考えているとか。そこで行われた皮算用の結果、1ライあたりの玄米市場価格(仮定)は519バーツ、人件費が同120バーツ、水牛使用料が同240バーツ。この土地から上がる利益は年間795バーツとなった。投下した資本を回収するために125年も要することになる。まあ、それでも趣味で土地を所有したいとあらば個人の自由かもしれない。

なお、タイの法律のでは外国人の土地所有は認められていない。

それよりも興味深いのは、タイ国内の経済格差。統計によれば、国内で最も貧しい県の平均年収はバンコク都民(107,640バーツ)の10分の1にすぎない。各県の平均世帯収入は次のとおり。

さらに、民間企業に就職した新卒者の月給は次のとおり(出展:総理府統計局/民間企業新卒者月給統計, ただし勤続3年以内に大卒以上の職員の給与は数倍に増大する)。

学歴別職種別初任給の格差
(単位:バーツ)

職種 学歴
高卒 専門学校卒 4年制大学卒 修士了
店員 6,423 7,119 - -
電気・自動車技師 6,611 8,312 - -
金融機関職員・会計士 6,803 7,378 12,301 17,695
販売員 6,648 7,795 13,999 25,337
人事担当職員 6,830 7,685 12,488 24,009
法務担当職員 - - 12,681 25,469
経済担当職員 - - 12,666 24,029
プログラマー 6,587 9,361 17,537 24,711
システムエンジニア - -  17,911 27,933
研究者・科学者 - - 12,973 23,886
工業技術者 - - 23,272 29,221
建築士 - - 17,038 -

2004年11月2日(火)

「タイ人労働者は素直で従順。上司に口答えをせずに働くから気楽でいい。でも、指示の内容を忠実に実行しないのには本当に悩まされている」

タイに住んだことのある日本人であれば、誰でもこうした愚痴を一度や二度は聞いたことがあるはずだ。

――従業員の管理を誤れば、当然このような事態に直面することになります。指示の内容が忠実に実行されないのは、タイ人のせいではなく、あなたのせいです。

今日の講座「タイ労働者論」の授業を担当している講師(ヂュラーロンゴーン大学(チュラロンコーン大学)経済学部准教授・労働問題担当首相顧問官)によると、生産のモードは経済基盤(労働力・生産社会関係)と思想体系(主義・社会的価値観・宗教的信仰・法律)の相互関係によって成り立っているという。

しかし、タイを含む東南アジアにおける生産社会の体系は、血縁主義的かつ封建主義的かつ資本主義的であるため、僕たち外国人にはなかなか理解できない。タイにおける封建主義的経済は、歴史的に労働力徴用の要となっていたサックディナー制(位階田制)の影響を色濃く残しているタイ固有の労使関係のことで、「管理者と労働者の中間」という概念はなく「管理者」と「労働者」との関係を明確に区別している。

ちなみに、ここでいう「労働者」とは、英語の Worker とは異なる意味合いで用いられているタイ語の กรรมกร(ガンマゴーン) のことで、「位階田制度下の奴隷」 ไพร่(プライ) に由来する職業、すなわち人夫、農民、家政婦、清掃婦、警備員、タクシー運転手、工場労働者など単純労働に従事している人々のことで、管理職やデスクワークに従事しているホワイトカラーは含まれない。

封建時代には全人口の9割が農民だったにもかかわらず、誰もがそんな過去を忘れて「侍スピリッツ」を持つようになった僕たち日本人が、封建時代の価値観を色濃く残しているタイ人の労働観を理解するためには、一度タイの教育省検定教科書「中等教育学校6年生(高等学校3年生)社会科」を紐解いてみると良い。

封建主義的な価値観からも、タイでは上司に対して従属的な姿勢を示すのが当然とされており、実際にタイ人労働者もそのような価値観に則って振る舞っている。しかし、内心では「クソ食らえだ」と思っている可能性もあるため、部下の立ち居振る舞いから本心を探るのは困難だ。

こうした事情を知らない日本人管理者たちは、往々にしてタイ人従業員たちの従順な態度だけを見て「従順で管理しやすい」と勘違いしてしまう。だが管理者に求められているのは、単に部下を従属的に振る舞わせることでなく、同業罷業状態にある従業員の「面従腹背」の感情を正しく理解して、労働意欲をかき立てるようなリーダーシップをとることである。これを理解できていない日本人が、タイ人に指示を出し、その指示通りに仕事をさせられるはずがない。

このあたりの事情は、タイのシニアリティー(年長者優越主義)の観点からも説明できるが、それはいろいろなホームページで紹介されているからここでは割愛する。

2005年2月6日(日)

「さっき私が面接に行ってきた会社、オーナーがインド人なんだって。小さな会社だったし雰囲気も悪かったからもういいや」

タイには日本のような「労働は美徳なり」という価値観がないため、卒業後に十分な休養をとってから就職活動を始める卒業生も少なくない(タイではむしろ労働をしないことが美徳とされている)。それに、学部のカリキュラムが日本よりハードなため、4年次に就職活動のための時間を確保することもできない。

タイにおける大学進学率が7割を超えた(2003年)ことを受けて、バンコクの中間層のあいだでは、大学院修士課程に進学することがブームになりつつある。出願者に1~2年の就業経験を課している修士課程も多いため、就職後短期間のうちに退職して、大学院へと進学するケースも目立つ。

この友人は、私立大学の理工系学部を卒業して現在就職活動をしているが、大学院へ進学する意志はないという。このような学歴軽視のスタンスをとるタイ人は、キャリア形成に役立つ企業と職種を選び、転職型労働市場で成功するための努力を続けていくことになる。

キャリアを形成するにあたっては、専門能力を伸ばせる職種、または大企業を選ぶとよい。タイ人大卒者は、たとえ大企業に入っても5年程度で退職して、2倍の給料を出してくれる企業へと転職していく。タイに年功序列的な給与体系がない以上、給与所得者は労働市場における自らの価値を高めて、よりよい待遇を勝ち取っていかなければならない。

友人が昼頃に面接を受けた企業は、キャリアを形成して行くにあたって有益な企業ではなかった。また、インド系タイ人は独自の文化を持っているため、マイノリティーとして扱われ忌避されている(実は単に黒くて臭いから嫌われているだけ)。

かくして、友人の就職活動は振り出しへと戻った。友人はいま、スキルを高められる技術系の職に就くべきか、それとも給料が良い販売系の職の就くべきか悩んでいる。

今日は、MBK マーブンクローングセンター(マーブンクロンセンター)へ友人と出かけてから、この日記に導入予定の「ブログ」の実用検証試験をした。

2005年5月29日(日)

「昨日バンコク銀行の与信部門から内定をもらったんだけど、どうしようか迷ってるとこなんだよね。月給わずか10,500バーツ。オフィスのなかで書類と格闘するだけの退屈な仕事。この内定を断って、ほかの仕事を探そうと思うんだけど、どう思う?」

バンコク銀行はソーポンパニット財閥の旗艦企業で、総資産額1兆2400億バーツ。国内に600以上、海外に19の支店を展開している言わずと知れたタイの超一流企業。それだけに、初任給と職務内容が気にくわないからと内定を蹴ってしまった友人の判断は、日本人的な価値観からすると理解しにくいかもしれない。

タイは転職社会であり、転職時の待遇は前職の賃金をもとに決定される。そのため、最初の賃金が低いと、将来的な賃金アップも遠のいてしまう。しかも社内的な給与格差も大きいため、就職先企業のブランド力は賃金ほど重視されていない。

タイの民間企業には総合職や一般職という採用区分がなく、各社とも部門ごとに随時採用活動を行っている。ジョブローテーション制度もなく、会社員は採用された部門の業務に特化して職務能力を高めていくことで自己の栄達を図らなければならない。

電話口で友人と語り合ってから、トーングロー(トンロー)15にある日本料理店「大戸屋」で別の友人とビールを飲んだ。でも、大戸屋は飲み屋ではなく定食屋だけに、ツマミにするには一皿のサイズが大きすぎ、種類も少なかった。やはり、飲むなら飲み屋に行くべきなんだろう。

2005年7月28日(木)

「香港の歩道って歩きやすくていいよね! バンコクの歩道もこれだけ歩きやすかったらウォーキング始めちゃうかも。でもさあ、どうして道端でこんなに堂々とエロ本が売られているのかしら?」

彌敦道(ネイザン通り)の地下鉄 MTR 佐敦站(ジョーダン駅)前で、友人が香港到着以来はじめて外国観光らしい感想を口にした。たしかに彌敦道(ネイザン通り)の歩道は、バンコクの主要道路と違って、広くて段差も少ない。足元に注意を払わなくても歩ける歩道が、タイ人の目に斬新なものとして映っても決して不思議ではない。

旅行ガイドブック「地球の歩き方」によると、香港の露天では大量の無修正エロ本が売られているという。ところが、タイではエロ本の販売が禁じられているため、これが友人にとって初めてのエロ本となった。実際にタイの高級日刊紙「マティチョン」の週刊版(2005年7月1-7日版)では、大学の制服を正しく着用している16-23歳の女性の写真が掲載されているだけの雑誌 Life on Campus(ライフオンキャンパス) (39バーツ)が「ヨダレが垂れんばかりの雑誌」と紹介されている。それだけに、日本で成人誌と呼ばれている雑誌は、タイ人にとって縁遠い存在になっている。とりあえず、「日本や香港には、庶民が気軽に通えるような性風俗がないから、必然的にエロ本の需要が高まるんだろう」と説明しておいた。

昼前、高架電車 BTS モーチット駅(地下鉄ヂャトゥヂャック公園駅)近くにあるオフィスビル Sun Tower へ友人と行き、携帯電話メーカー Sony Ericsson(ソニーエリクソン) の販売総代理店 Loxley(ロックスレー) の支店で携帯電話 Sony Ericsson K750 のファームウェアを更新し、そのままバンコク・ドーンムアング(ドンムアン)空港へと向かい、アラブ首長国連邦 UAE の航空会社エミレーツ航空 KE384 便に搭乗した。

午後6時半、中華人民共和國香港特別行政區(中華人民共和国香港特別行政区)香港國際機場(香港国際空港)に到着。バンコクの旅行代理店が用意した観光バスで、地下鉄 MTR 佐敦站(ジョーダン駅)徒歩3分のところにあるホテル「大華酒店(マジェスティック)」にチェックイン。その後、部屋でくつろいでから、地下鉄と路線バスを乗り継いで山頂纜車「山頂纜車站(ピークトラム駅)」へ行き、維多利亜公園(ヴィクトリアピーク公園)から「百万ドルの夜景」で知られる香港の夜景を眺めた。帰途、カタヤキソバ(35香港ドル)を食べてホテルへと戻った。

今回、バンコクのタイ人向け旅行代理店に申し込んだのは、①航空券、②ホテル、③半日無料ツアー込みで、ひとり11,000バーツのプラン。ツアー代金を含む全旅費のうち、自分のぶんは自分で払うと友人が言っていたので、講義を1日欠席して、3泊4日の香港旅行に出かけた。

ところで、マスターカード・インターナショナル(本社ニューヨーク州パーチェス)が、アジア太平洋地域の13の市場における女性の社会進出の度合いを、①「雇用市場への参加」②「学歴」③「管理職の割合」④「平均収入」の4つの指標で数値化した「女性の社会進出度調査」によると、1位がタイ(男性を100とした場合92.3)、2位がマレーシア(同86.2)だった。この調査から、タイ人の女性には、男性とほぼ同等の社会的経済的な能力があることが分かる(ちなみに日本人女性は54.5)。

一部の日本人のあいだでタイ人の恋人への仕送りがしばしば話題に上っているが、中流のタイ人女性の経済力を侮ってはいけない。実際に、バンコク在住の独身日本人現地採用世帯(平均40,000バーツ×1)と、既婚タイ人中流世帯(平均24,000バーツ×2)の月間所得を比較すると、ほとんど差がないことが分かる。

タイ人の彼女に仕送りをしていると公言することは、普通のタイ人女性であれば仕送りに頼らなくても十分生活していけるため、相手に就労能力がないのを認めているのに等しい。実際に「仕送り」の背景を詳しく調査してみると、お気に入りの娼婦(売春婦)に売春をやめさせるための所得保障として支払われており、これはタイに関する習熟度の低い日本人によくあるケース。

標準的なバンコクの若者たちは、両親に仕送りをすることはあっても、他人に仕送りを要求するはずがないし、仮に仕送りの提案をしても拒否するはずだ。なにしろ、彼/彼女たちには、海外旅行を楽しめるだけの経済的な余裕があるのだから。

2005年8月23日(火)

「融資を受けるなら、高金利の消費者金融より銀行の個人向けローンの方がいいわよ。審査も早いし金利も低い。なにより『滞納時の取り立てがお上品』なのは魅力ね。複数の金融機関からの借金を一度に完済し、新しい借金に一本化するのに適しているわ」

夜、自室で友人がパソコン画面に向かいながら、銀行の個人向けローンについて簡単に説明してくれた。

政府の規制緩和政策により、バンコク都内でも最近ノンバンクの支店が爆発的に増加している。銀行も個人向けローンに力を入れており、グルングタイ銀行(クルンタイ銀行)では都市部に個人向けローン KTC (バットグルングタイ(クルンタイカード公開株式会社))の支店を多数出店してブランドの浸透を図っている。

タイタナカーン銀行(タナーカーンタイタナーカーン, Bank Thai Bank)の個人向けローンはつぎのとおり。

対象:月収15,000バーツ以上の個人(保証人不要)
年利:15-20%(借入額により変動, 学資ローンは12%, 住宅ローンは5.75~6.00%)
限度額:月収の最大5倍または150万バーツまで
返済期間:12~60ヶ月
期日通りに返済すれば翌年の年利割引

個人向け多目的ローンの審査には、住民票(タビアンバーン)国民 ID カード(国民身分証)のコピーと給与明細の原本を提出しなければならない(外国人は融資を受けられない)。また、学生証を借りてきて提示すれば、低利の学資ローンに切り替えられるという。

友人(個人向け多目的ローン営業)の給料は、固定給15,000バーツ、歩合給約8,000バーツ(契約件数により変動)。ノルマは毎月10件で、インターネット等の掲示板を駆使して練るまで顧客を募っている。

昼すぎ、ヂャルーングルング通り(チャルンクルン通り)の路上顔脱毛屋で、顔脱毛、ニキビ皮脂の除去(男性200・女性100バーツ)をしてから、友人宅でお好み焼きを食べた。

2005年8月24日(水)

「これまでも官吏の俸給(公務員の給与)は民間の給与水準より低いって言われてたけど、数年前の官吏制度改革(公務員制度改革)で官吏唯一の魅力だった普通恩給と退職金まで減らされてしまったから、副業をしないと、ちょっとバンコクでは生活していけないかもね」

夕方、ンガームウォングワーン通りの粥屋「カーオトムウワンポーム」でガイメットマムワング(鶏肉とカシューナッツの野菜和え)を友人と突いていたところ、タイの官吏制度(公務員制度)の話になった。

文官委員会(カナガンマガーンカーラーチャガーンポンラルアン)は2003年12月、145億9000万バーツの財政補正予算を組んで文官約5万人を早期退職させ、さらに2004年4月1日から業績評価システムを導入して文官の約2%にあたる約10万人を削減した。このときの早期退職制度で退職した友人の父親は、毎月15,000バーツ程度の恩給を受け取っているという。

一方、教育省付属の公立学校に勤めている友人の母親は、8級文官3号教諭 อาจารย์ 3 ระดับ 8 の役職にあるという。某金融機関の顧客情報によると、勤続30年50歳女性(高専卒)の8級文官3号教諭は26,800バーツ、勤続30年50歳女性(同)の7級文官3号教諭は24,600バーツの俸給を得ており、前者はタクシー運転手向けの講座で月々7,000~40,000バーツの副収入がある。

タイの官吏制度(公務員制度)には、1級から11級まである。

タイ官吏の階級
本省係員2~4級文官、本省係長級5~6級文官、本省課長級7~8級文官、本省副局長級9級文官、本省局長級10級文官、次官11級文官(郡長7級文官, 県知事10級文官)

タイ教育省には79,308人の常勤職員がいる。

タイ教育省常勤職員の内訳
教育省本省所属335,876名、普通教育局105,396名、職業教育局18,085名、学校外教育局2,610名、私立教育委員会事務局816名、カリキュラム指導局16,062名、芸術局1,062名、ラーチャパット高等教育機関7,533名、初等教育局1,292名、ラーチャモンコン高等教育機関5,089名など

うち普通教育局には14の職位がある。

普通教育局の職位
第1級教員 ครู 1 (2級文官, 1人)、第2級教員 ครู 2 (2~4級文官, 29人)、第1級教諭 อาจารย์ 1 (3~6級文官, 27,902人)、第2級教諭 อาจารย์ 2 (6~7級文官, 65,698人)、第3級教諭 อาจารย์ 3 (6~9級文官, 2,950人)、副教員長 ผู้ช่วยครูใหญ่ (5級文官, 1人)、教員長 ครูใหญ่ (6~8級文官, 30人)、副教頭 ผู้ช่วยอาจารย์ใหญ่ (5~7級文官, 356人)、教頭 อาจารย์ใหญ่ (6~8級文官, 568人)、副学校長 ผู้ช่วยผู้อำนวยการโรงเรียน (6~8級文官, 4,872人)、学校長 ผู้อำนวยการโรงเรียน (7~9級文官, 2,341人)、スクサーニテート ศึกษานิเทศก์ (5~9級文官, 420人)、県教育局副局長 ผู้ช่วยผู้อำนวยการสามัญศึกษาจังหวัด/กทม. (8級文官, 152人)、県教育局長 ผู้อำนวยการสามัญศึกษาจังหวัด/กทม. (8級文官, 76人)

教員の俸給は、官吏としての俸給と職位手当(第3級教諭以上3,600~9,900バーツ、特に専門性の高い職種13,000バーツ)によって決定される。

文官の初任給は、中学高校卒で4,640バーツ、職業学校卒で5,260バーツ、高等専門学校卒で6,490バーツ、4年生大学卒7,260バーツ、5年生大学卒7,960バーツ、修士卒8,870バーツ、博士卒12,000バーツ。

ちなみに前出の「8級文官3号教諭」だが、役職は「学年主任」に過ぎないという。複雑で分かりにくいが、タイの官吏に対する理解が少しだけ深まった。日常生活のなかでこのような話ができるバンコク中間層の友人たちとの語らいの日々にけっこう満足している。

午前9時から午後4時までの講義に出席してから、高架電車 BTS モーチット駅で友人と合流して夕食をとりに行った。

2005年11月15日(火)

「実はね、けっこう前から約束してたんだけど、今日もらった給料でみんなに夕食をおごることになってるのよ」

夜、ウッタヤーン通りにあるドイツ風屋外料理店「バーンナームキアングディン」で、銀行勤務の友人は給与明細をバリッと広げて嬉しそうに語っていた。今月の総支給額は56,000バーツ。3ヶ月間の試用期間を経て、今日がはじめての正規賃金支給日。日本人大卒女子一般職や日本人高卒男子総合職の初任給と同程度で、タイで採用されて働いている日本人の平均月給を遥かに凌ぐ、タイ人会社員としては誰に恥じることなく堂々と胸を張って触れ回れる良い給料だ。

昼すぎ、セントラル百貨店ピングラーオ店(ピンクラオ店)の美容室で友人たちとストレートパーマをかけた。料金は、僕が2,000バーツ(ストレートパーマ, カット)、友人が5,000バーツ(ストレートパーマ, カラーリング, トリートメント)だった。

その後、ウッタヤーン通りにあるドイツ風屋外料理店「バーンナームキアングディン」で友人たち7人と夕食をとった。腹一杯食べて1,200バーツ。「案外安いじゃない?」と言って、友人はポンと全額支払った。

なお、総支給額56,000バーツのうち、10,000バーツを両親にあげたという。

2005年11月19日(土)

「大丈夫。わたしは大丈夫よ。これもタンブンってやつかな? でもこんな功徳を積んだところで、本当に良いことなんてあるのかしら? あははははー」

夜、 Robinson(ロビンソン) 百貨店スクンウィット店(スクンビット店)地下のタイスキ屋 MK(エムケー) で、妙にテンションが高い友人の上司は、自分と部下3人分の食事代800バーツを財布から取り出しながらそう言った。

タイは完全な転職型労働社会。労働者の賃金は本人の能力とキャリアによって決められる。それなりの能力があれば、どんなに若くても能力相応のポジションと賃金が与えられるし、能力がなければ、どんなに歳をとっていても賃金は一向に上がらない。今晩、夕食をともにした友人の同僚たちの賃金は、それぞれ友人の上司(女性32歳)62,000バーツ、試用期間を終えたばかりの友人(部下A)56,000バーツ、部下B(女性22歳)22,000バーツ、部下C(女性40歳)18,000バーツ、部下D(女性23歳)12,000。まるで年功序列なんかクソ食らえだとでも言わんばかり。友人(部下A)は今後2ヶ月の業績次第で上司と同格まで昇格できるという。

上司が部下に夕食をおごる目的はひとえに部下の人心掌握にあるが、これだけの所得格差が大きいと部下に食費を出させるわけにもいかないのかも。上司として振舞うのもなかなか楽ではない。

会食中、僕は彼女たちの内輪話について行けず、鍋のなかの料理をひたすら食べ続けていた。

「それで妹さんの学費、一学期いくらなの?」

僕の正面に座っていた友人は、何気ない素振りでスリン県(タイ東北部(イーサーン地方))の妹に仕送りをしている部下Dにそう尋ねた。タイ人お得意の「相手の階級調査」がまた始まった、と思いながら、その話に耳を傾けた。

「国立高校だから、ほとんどタダみたいなもんよ」

部下Dは要領を得ない回答でやり過ごそうと試みたが、友人も諦めない。

「それじゃ、毎日いくらの金を使わせてあげてるの?」

バンコク都内の中流家庭では、70~130バーツが妥当なところ。内訳は、昼食代25バーツ(飲料代込み)、交通費往復60バーツ、小遣い20バーツ。

「・・・・・・40バーツよ」

これっぽちでは、昼食代を15バーツ(飲料代抜き)、往復の交通費を20バーツに抑えても、手元には5バーツしか残らない計算になる。これを聞いて、友人は満足してほくそ笑み、何事もなかったかのようにこの話題は終了した。

まるで北斗の拳のような理不尽な世界だ。

僕と友人(部下A)は、食費としてそれぞれ200バーツずつ払った。

夕方までインターネットで視力矯正手術(レーシック)の情報を集めてから、Robinson(ロビンソン) 百貨店スクンウィット店(スクンビット店)地下のタイスキ屋 MK(エムケー) で友人の同僚たちと夕食をとった。帰宅後、昨晩食べ残したチーズをツマミながら、昨晩飲み残した赤ワイン Montemoro を飲み干した。

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階級社会で生きる (2004年10月6日)

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