2002年10月28日(月)

昼、授業中に飴を舐めていたところ、下顎右側第1大臼歯の銀歯に張り付いた。それをムリヤリ引き剥がすと、こんどは銀歯まで取れてしまった。

高架電車 BTS プローンポング駅(プロンポン駅)ちかくの歯科医院「恵歯会」をクラスメイトに勧められ、さっそく予約した。

歯科医院「恵歯会」の歯科医師と看護婦は、いずれもタイ人で、日本人は通訳兼受付のひとりだけだった。問診票に氏名や職業等の個人データと来診目的を記入し、そのまま診察室のリクライニングシートに横になった。

「麻酔をしまーす」

歯科医師は、何の説明もせず、いきなり右上歯茎に注射針を差し込み、日本人通訳に「何色の歯がいいか聞いて」と指示した。日本語訳を待たずに値段差について尋ねると、「銀歯が6,000バーツ、白い歯が7,000バーツ、金歯が8,000バーツです」と日本人通訳が答えた。あまりの展開の早さと金額の高さに半ば投げやりな気分になり、たった1,000バーツの違いならと、銀歯ではなく白い歯を注文した。

その後、歯科医師は顎骨を削って詰め物をした。銀歯を作り直すために、なぜ顎骨を削ったのか解らず仕舞いだった。

クラスメイトは、タイの歯科治療の特徴について、つぎのように話している。

・治療前説明が不十分(ただし、バムルングラート病院(バムルンラート病院, バムルンラッド病院)の治療前説明には定評がある)。
・技術力が高く、特にボルトのようなものを歯に埋め込む技術は卓越している。
・精度の高い銀歯を安価で取り付けられる。
・治療に必要な期間が短い

エーンによると、タイ人向けの歯科医院であれば、2,500バーツ以内で済むという。

海外旅行傷害保険には、歯科治療は含まれていない。

2002年11月8日(金)

海外で病気にかかると厄介だ。自分の症状を外国語で正確に伝えるのが難しいのはもちろん、国民健康保険が使えないため莫大な療養費や移送費も請求される。十分なタイ語力がなく、海外旅行傷害保険にも加入していない日本人にとっては一大事業となる。

朝、日本人留学生に電話したところ、38℃以上の高熱を出して寝込んでいた。海外旅行傷害保険に加入していないため、日本語通訳がいる私立病院(日本国内の並の総合病院よりも遙かに良い設備とサービスがある)へ行く金もないという。

午前中の授業終了後、国立マヒドン大学医学部附属ラーマーディッボディー病院(ラマティボディ病院)へ、日本人留学生と日本人元看護婦と出かけた。この病院はタイ人のあいだでも定評がある。

病院の案内標識はすべてタイ語で書かれており、英語併記はおろか外国語通訳カウンターもない。待合室はオープンエアーでエアコンもなく、患者たちが木製のベンチで順番待ちをしていた。

仕方なく、一般外来受付へ行き、タイ語で初診手続について尋ねると、看護婦がナチュラルスピードのタイ語で説明してくれた。ゆっくり話してくれなければ、英語か日本語かも選ばせてもくれなかった。外国人に不慣れな、完全にタイ人向け医療機関の看護婦だ。

「一般外来の初診受付は通常、午前中いっぱいで終了しますが、あちらの6番窓口に問い合わせてみてください。もし受付が受理されたら、目の前にある階段を2階に上がって総合診療科(ホームドクター科)へ行ってください」

6番窓口で、受診票に患者の個人情報(パスポート, 住所, 電話番号, 保険の有無など)を書き込んで提出した。付き添いのタイ語通訳(?)である僕の連絡先も書かされた。初診受付は受理され、診察券とカルテのファイルを手に入れた。

総合診療科窓口で、診察券とカルテファイルを差し出すと、看護婦に「この名前ってタイ語でどう書くの?」と聞かれた。タイでは通常、外国人の氏名は英語で表記されるが、この看護婦はあくまでもタイ語表記にこだわり続けた。

受付終了後、診察室前のベンチで順番待ちをしていたところ、タイ語で氏名が読み上げられ、「呼び出された方から順番に2番診察室前の椅子(ベンチ)でお待ちください」と指示された。

順番はすぐに回ってきた。2番診察室へ3人で入ると、若い女医は、旧式の血圧計で日本人留学生の血圧と心拍数を測り胸部と背に聴診器をあてるという作業を、驚異的な速度でこなしていった。日本人元看護婦も、この短時間では正確なデータが得られないと、首を傾げていた。

女医に日本人留学生の症状を説明し、薬によるアレルギーがないことを付け加えた。

そこで、医療関係のタイ語語彙の不足に直面した。相手が友人なら「のどにある黄色くてネトネトしたものが気持ち悪い」と伝えれば痰が詰まっていると理解してもらえるが、さすがに医師相手にこんな表現も使えないから、友人の日タイ辞典を引いた。痰は、タイ語で เสมหะ(セームハ) seěm hà というらしい。

医師は、今回の症状について簡単に説明し、最後にクスリを出すと言った。診察時間はおおむね3分程度。総合診療科の出口でオバさんにカルテファイルを渡したときに受け取った整理券を、会計に提出した。

ラーマーディッボディー病院(ラマティボディ病院)の会計は、おかしなところで IT 化が進んでいる。液晶モニターが窓口の上部に据え付けてあり、そこに整理番号と氏名、請求額が表示される。日本人留学生の請求額は297バーツで、内訳は外国人初診料250バーツ、診察料10バーツ、薬代47バーツ。安すぎる。外国人向けの高級病院と比較すればタダ同然だ!

会計終了後、薬局でクスリをもらい、効用と使用法について説明を受けた。

国立マヒドン大学医学部附属ラーマーディッボディー病院(ラマティボディ病院)は、タイ最高水準の医師と医療機器を備えており、しかも安い!! ただし、ナチュラルスピードのタイ語が聞き取れないと、受診どころか受付すらできない。

もちろん、海外旅行傷害保険に加入しているなら、日本語通訳付き、エアコン完備、待ち時間ほぼゼロの市立病院に行った方がよい。どうせタダだ。

2004年8月18日(水)

日本人もビックリの超豪華「市民病院」。

バンコクには、タイ語を話さない日本人をターゲットとしたサービスがたくさんある。衣・食・住、なにからなにまで至れり尽くせり。タイ語なんか話せなくても、タイで何不自由なく生活できると考えている日本人もきっと少なくないはずだ。もちろん、僕たちの健康を守る医療機関も例外ではない。

ちょうど日本から遊びに来ている友人の体調が優れず、スクンウィット(スクンビット)3にある富裕層向けの私立総合病院「バムルングラート病院(バムルンラット病院)」に行くというので、ついでに僕も医者に診てもらった。

これまでバムルングラート病院(バムルンラット病院)といえば、「なんとか通じるレベルの日本語を話す通訳を多数そろえている高級病院」というイメージしかなかったが、あらたに流暢でオシャレな日本語を駆使する女性内科医が加わったことでだいぶ便利になった。

今回の医療費は、施設使用料90バーツ、診察料A1,100バーツ、診察料B1,000バーツ、レントゲン照射費440バーツ、レントゲン技術費220バーツ、薬代1,950バーツ(4種類)の合計4,511バーツ。

ところで、この病院の名前を日本語に直訳すると「市民療養病院」。でも、平均的な高卒タイ人労働者の月給にも匹敵するようなバカ高い医療費を払える市民なんてどこにいるのか。そんな笑えないジョークを考えながら、病院のエントランス前でホテルのような制服を着ている警備員が交通整理をしている姿を眺めていた。

ちなみに、節約型の医療がお好みであれば、ヂュラーロンゴーン大学(チュラロンコーン大学)附属病院(プララームスィー通り(ラマ4世通り)ラーチャダムリ通り(ラチャダムリ通り)交差点)、マヒドン大学付属シリラート病院(アルンアマリン通り・パラーンノック通り交差点)・ラーマーティッバディー病院(プララームホック通り(ラマ6世通り)ラーチャウィティー通り(ラチャウィティー通り)交差点南)などがお勧め。たぶん待合室で一日中待たされることになるが、医療費は国民IDカードを持たない外国人でも500バーツもあればなんとかなるはず。

僕たちはそんな贅沢をできるほど裕福ではないから、日本出国前に加入した海外旅行傷害保険のキャッシュレス診療サービスを利用した。

夜、ホテル Royal Orchid sheraton(ロイヤルオーキッドシェラトン) で友人と夕食をとった。

2005年6月5日(日)

「バンコク中央病院の集中治療室に祖母が入院しているんだけど、うちは父が公務員だから、医療費の大半が国から還付されるのよ」

公務員の家庭に対する医療費の還付額については不明だが、友人によるとタダ同然で延命治療を受けることができるという。バンコク都医務局附属中央病院は、ポームプラーイ区に古くから広がる下町の中心部にある近代的な総合病院で、ベッド数404床、医師94人、看護師413人、歯科医8人、薬剤師9人。

今日は友人の祖母を見舞うために、友人のクルマで、バンコク都医務局附属中央病院へと出かけた。その後、ノンタブリー県パークグレット郡にある美容室で友人とストレートパーマ(1,500バーツ)をかけ、サムットサーコーン県ケーラーイにある粥料理店「カーオトムウワンポーム(デブやせ粥)」で友人と夕食をとった。

2005年7月17日(日)

「わたしが働いている病院なら、24時間いつでもきちんと診察してくれるわよ。当直の先生は4人しかいないけど、それぞれちゃんと専門科目を診られるようになっているから大丈夫。どうせタダなんでしょう? なら、行ってみたら?」

夜、バンコク西部のウッタヤーン通りにあるドイツ風屋外レストラン「バーンナームキアングディン」で、友人5人と夕食をとっていたところ、バンコク在住の日本人に人気の「バンコク病院」で働いている看護婦から、診察を受けるよう勧められた。

先週水曜日、タイ研究科の講座「タイ文化論」の一環として、ヂャッグリーマハープラサート宮殿(チャクリ大宮殿)を見学したときに、滝のような雨のなかを傘もささずに強行突破したため、風邪をひいてしまった。その後も酒を飲みに出かけていたせいで風邪をこじらせてしまったらしく、朝から軽い眩暈が続いていた。食後、さっそく友人の助言にしたがって、バンコク病院へ友人と向かった。

午後11時頃、スーンウィヂャイ(スンヴィチャイ)1にあるバンコク病院に到着。受付に旅券(パスポート)と海外旅行傷害保険証を提出して、診察券を発行してもらった。一般外来で簡単な診察を受けると、医師から酸素吸引室とエックス線撮影室に行くよう指示された。ふたたび診察室へと戻ると、「風邪」と診断され処方箋が出された。会計後に受け取ったクスリは、とりあえず患者が訴えている症状に効果があるものを全種類出しておきましたっていうカンジ。料金は3,373バーツ(ただし保険適用のキャッシュレス)だった。金儲けのための過剰な医療は、バンコク都内の高級病院では日常茶飯事。

昼、スィーロム(シーロム)19にある小籠包屋「永和豆腐(ラーンナームタオフーヨングホー)」で友人と昼食をとり、ホテル Sofitel Silom Bangkok(ソフィテルシーロムバンコク) のケーキ屋 LENOTRE で優雅にアフターヌーンティーを満喫した。その後、将来のタイ駐在に備えて、ラングスワン通り(ランスアン通り)のコンドミニアムを片っ端から見学した。価格帯は40,000-120,000バーツ。日没後、ウッタヤーン通りにあるドイツ風屋外レストラン「バーンナームキアングディン」で夕食をとり、スーンウィヂャイ(スンヴィチャイ)1にあるバンコク病院で診察を受けた。

2005年9月6日(火)

スクンウィット(スクンビット)49にあるサミティウェート病院(サミティヴェート病院)は、グルングテープ病院(バンコク病院)バムルングラート病院(バムルンラット病院)とならぶ数多くの専門医を揃えるバンコク随一の高級私立病院して、バンコクの日本人社会のあいだで知られている。1979年に設立され、1999年にはタイ保健省、ユニセフ、世界保健機関から「母子保険病院」の指定を受けた。250の病室、87の診察室(45の外来診察室を含む)があり、勤務医・看護婦・職員約1,200名のほか、約200名の専門医が勤務している。また珈琲屋 Starbucks Coffee(スターバックスコーヒー) のほか、ケーキ屋、パン屋、軽食屋などがある。

しかし、費用はべらぼうに高く、本国に住んでいる標準的な日本人でも手術を受けるのは難しい。やはり海外に住むなら、あらかじめ海外旅行傷害保険(年間約10万円)に加入しておきたい。

昼すぎ、スクンウィット・サミティウェート病院(サミティベート病院)に入院中の友人を見舞ってから、スィーロム通り(シーロム通り)の珈琲屋で論文を読んだ。昨晩、酒がすぎたせいで午後11時頃までひどい二日酔いに悩まされ続けた。

2005年10月3日(月)

「就職先に証明書を提出するための血液検査ですか? もしそうでしたら、あらかじめおっしゃっていただけると助かるんですが」

昼すぎ、高架電車 BTS スラサック駅前にあるセントルイス病院の診察室で、愛想の良い壮年医師に血液検査をしたいと伝えると、真っ先にこのような質問が返ってきた。就職がかかっている血液検査であれば、何らかの便宜を図ってくれるんだろうか。

ここのところ、喉に妙な違和感がある。先日、日本人の友人が性病を治したら喉の違和感もなくなったと言っていたから、自分も感染症に罹っているのではないかと思い、念のために私立セントルイス病院で血液検査を受けた(日本人通訳がいるような病院では費用がかさみすぎるし、割安な公立病院では一日中待たされる)。ちなみに、この病院にはセントルイス看護短期大学が付属している。

「まあ、エイズでもない限り、クスリを数週間飲み続けるだけで治りますから、安心してくださってけっこうですよ」

そりゃあ他人事なら安心だろう。看護婦のあとについて採血室へと向かった。

「もちろん使い捨てよ。そんなに疑うんだったら、これから新しい注射器を出すところを見せてあげるわ」

看護婦はエイズ性病検査キットから未開封の採血セットを取り出した。採血のあと、1時間ほど病院1階のベーカリーカフェ Au Bon Pain(オーボンパン) で時間をつぶしてから診察室に戻った。

「異常はまったくありませんでした。診断書が必要でしたら発行しますが・・・・・・」

タイ留学を始めてからの4年間、これまでソープ嬢やゴーゴー嬢などの娼婦(売春婦)と性交渉をしたことは一度もない。だから、エイズや性感染症になっていないのは当然としても、それならこの喉の違和感はいったい何なんだ? もし性病であれば、治療することで喉の違和感も解消されると期待していただけに、かえって有効な対処法を失い途方に暮れた。診察料は700バーツだった(海外旅行傷害保険の適用外)。

「バンコクの空気が悪いからじゃん? 喉が痛いなんて医者に言ったら、100バーツのノド飴を300バーツで売りつけられるのがオチだよ」

友人は電話口でそう話していた。

その後、セントラル百貨店ラートプラーオ店でストレートパーマ(2,500バーツ)をかけた。帰宅時に降った豪雨の影響により、スクンウィット3-19で大規模な停電が発生。排水ポンプも停止し、道路が縁石の高さまで浸水していた。そのなかを低車高のクルマで無理矢理強行突破したため、エンジンルームのなかに雨水が入り、途中何度もエンストしそうになった。コンドミニアム「スクンウィットスイート(スクンウィットスイート)」の駐車場に戻ってきた頃には、フォグランプのなかに水がたっぷりと詰まっていた。

午後、日本で催された内定式への出席は、遠隔地にいるため免除された。海外交通費をもらっても、こんな時期に帰国してしまったらタームペーパー(学期末小論文)の提出期限に間に合わなくなる。

2006年1月29日(日)

グルングテープ病院(バンコク病院)が早期退職者を募ってるのは聞いたことあるけど、もしかして心臓疾患病院棟の建設費用で経営が厳しいのかしら? さすがに診察料もけっこうふんだくってるわね。でも、まともな処方をしてくれてるだけまだいいわ。昨年末、近所にあるガセームラート(カセムラート, カセムラット)プラチャーチューン(プラチャチュン)病院で診てもらったら、薬局で廉価版のクスリとして売られているような安物を市価の5倍で売りつけられて本当にあったまきた。海外旅行傷害保険に加入してて自己負担なしなら病院で診てもらってもいいけど、ちょっとした風邪なら薬局のほうがイイこともあるわよ」

午後10時5分、スーンウィヂャイ(スンビチャイ, スンヴィチャイ)1にあるグルングテープ病院(バンコク病院)で、友人が診療報酬明細書を見て言った。内訳は、▽診察料400バーツ▽看護婦料150バーツ▽処方薬代金2,570バーツの合計3,120バーツ。海外旅行傷害保険のキャッシュレス・メディカルサービスを利用した。処方薬代金は市価の5倍くらいだが、診察料はスクンウィット(スクンビット)3にあるバムルングラート病院(バムルングラッド病院, バムルンラット病院, バムルンラート病院)のおおむね3分の1と良心的。

朝から38℃の高熱があり、一日中自室でグッタリとしていた。夜、友人の勧めで、スーンウィヂャイ(スンビチャイ, スンヴィチャイ)1にあるグルングテープ病院(バンコク病院)へで深夜診療を受けた。