サムローングで午前4時まで酒を飲んだ

「それって、ふつうは断らないでしょう?」

午後6時52分、サムットプラーガーン県サムローングにあるインペリアム百貨店の前で、水色のポロシャツを着ているイベント係の女性が、タイ語が書かれているカードと水色のロウソクを手渡すために近づいてきた。しかし、午後7時に友人たちと待ち合わせをしており、その直前に面倒が起きることはできるだけ避けたかったため、すかさず受け取りを拒否した。係員は唖然とし、困惑と驚愕とが入り交じったような複雑な表情をしながら立ち去っていった。

午後7時15分、友人たちと合流して、ふたたび店の外へ出てみると、人々がロウソクを掲げ、王妃に対する忠誠の言葉を唱えていた。そこで、さきほど起きた出来事について話をしてみたところ、友人たちも驚いていた。カードとロウソクを拒否することは、王妃に対する礼賛を拒否する行為に等しく、タイではとんでもない非礼であるとされている。きょうの王妃誕生日は、タイの祝日であると同時に「母の日」にもなっており、タイの国内ではさまざまな催し物が行われている。

午後7時50分、スクンウィット107街路にある大部屋カラオケ屋の MODIFY へ行ったが、店内で放し飼いにされている犬のあまりの臭さに耐えきれず、30分で脱出し、スィーナカリン通りにあるカラオケ屋「チャーイパー」へ移動した。この店は、ウイスキーの持ち込みが自由(持ち込み料ナシ)で、500バーツの個室使用料とコーラや炭酸水などのミキサー代を払うだけでカラオケを楽しむことができる。午前零時まで友人たち4人とタイ語曲を熱唱した。

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「つい先日、高校生が GTA の真似事をして、タクシーの運転手を殺してカネを奪うという事件が起きたばかりだけど、今度は小学4年生が――」

中等学校6年生の19歳の少年が今月3日、オンラインゲーム Grand Theft Auto のミッションを模倣して、タクシーの運転手を殺害して現金を奪った事件をきっかけに、タイでは現在、残虐なゲームによる青少年に対する弊害が社会的な問題となっている。そして友人によると、今度は小学校で同じような事件が起こったという。

「今度は小学4年生がゲームの真似事をして警察沙汰になったんだって。 GTA の事件とは違って、新聞ではあまり大きく取り上げられなかったけど、警察が教室に到着したときにはクラスの全員が自分の頭を抱えてうずくまっていたんだってさ」

オンラインゲームのサーバーを管理している友人によると、小学4年生の少年がアクションゲームのスーパーマリオブラザーズに登場する主人公にならって、教室の机の上からクラスメイトの頭の上をめがけてジャンプした事件が、オンラインゲームの参加者たちのあいだで話題になっているという。この少年の母親は、警察の調べに対して、この1週間キノコしか食べていなかったと証言し、学校長も国旗につかまろうと掲揚台に登ろうとしていたと語っており、必死になって亀を探す少年の姿も目撃されていたという。ただし、これはゲーマーたちのあいだで交わされている単ジョークの可能性もあるため、真偽のほどについてはなんとも言えない。

そんな話をしながら、午前4時まで友人宅で飲み続けた。そろそろ休肝日がほしい。

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ケイイチ
バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。