タイ在留日本人隔離施設留保法は法制化せず行動によって実現させよう

20060307@2x

「とにかく、雰囲気が悪いから外へ出よう」

午後11時半、スクンウィット22街路にある日本風居酒屋の「よしのやま」で、バンコクに住んでいる友人の日本人と酒を飲んでいたところ、すぐに店から出ようと強く勧められた。約2年間にわたる日本生活の影響で嗅覚がすっかり衰えていたこともあって、この店のどのあたりが雰囲気が悪いのかサッパリ理解できなかったが、とりあえず店から出て、スクンウィット23街路にある日本人向けパブの Outer Room へ移動した。友人が帰宅した午前零時半、いつまたこの店に来られるか分からないから、店に預けたままになっていた「いいちこ」のボトルをすべて空けてしまおうと、ふたたび日本風居酒屋「よしのやま」へひとりで戻ると、躾のなっていないバンコク徘徊中の日本産犬に噛み付かれた。

タイに住んでいる日本人は、一般に「日本人」と総称されているが、社会的地位、所得水準、教育水準、文化、価値観、生活様式、経歴、交友関係など、どれをとってもかなりの隔たりがある。自分と同じ日本語を話しているため、ついつい相手に対しても自分と同じ常識や価値観を持っていることを期待してしまいがちだが、ここバンコクでは、本国では考えられないような価値観を持っているおかしな日本人が少なからずいるため、面識のない日本人とはじめて接するときには常に細心の注意を払っておく必要がある。

タイに住んでいる日本人について考えるときには、同じ日本人のなかに、さまざまな「部族」があると考えれば、理解が容易になる。そもそも、日本人とタイ人の価値観の違いなんかより、世間一般の日本人とそうではない特殊な日本人とのあいだにある価値観の違いのほうがはるかに大きい。

タイには日本人によるさまざまな「部族」があって、それぞれ異なる独自の文化や価値観を形成している。しかし、互いにムキになって否定し合うことは、あまり良いことではない。むしろ、互いを尊重し合うことによって、建設的な方向性を持たせて発展させていく必要がある。娼婦を「天使」と呼んで崇め奉っているような「部族」に人々に対して、そうではない大多数日本人からなる一般人による常識や価値観を無理強いすることは、かえって深刻な対立の原因となるため、できるだけ避けるようにしたい。

そのため、タイの議会は、タイ在留日本人隔離施設留保法をすみやかに法制化して、施行する必要がある。たとえば、レストラン、ホテル、列車、バス、公園、公衆トイレといった公共施設の利用を、「部族」ごとに区別して、異なる「部族」同士の交流を完全に絶つことができれば、それぞれ固有の文化や価値観が相互に衝突したり干渉し合ったりすることがなくなり、タイに住んでいる日本人のあいだに存在するといわれている部族対立も解消されるのではないか。これは差別ではなく、それぞれが未来志向の発展を遂げていくために必要不可欠なことである。

・・・・・・なんてアホことも考えてはみたが、そんなことをやってしまったら、今度はまともな日本人が、バンコクの都内に点在している日本料理店のほぼすべてに入れなくなるという問題が生じるため却下。やはり、友人のように、客層から店の雰囲気を瞬時に感じ取る能力を身に付けて、問題が起きる前に何らかの手を打っておくことが、ここバンコクで生活していくうえではもっとも賢明なのかもしれない。

ちなみに、バンコクで最もタチが悪いのは、むろんタイ人ではなく、タイに在留している期間が長く、安定的な収入がない日本人男性といわれている。自己の評価と周囲からの評価、あるいは理想としている自分の姿と実際の自分の姿のあいだに生じているギャップがあまりにも乖離しすぎているため、常に苛立ち、キレそうになっている。だからといって、野良犬クラスの日本人をフルぼっこにして会社から停職処分を食らったり、拳銃で撃ち殺して牢屋にブチ込まれでもしたら、いよいよ目も当てられなくなるから、まともな日本人であればあるほど、何かの面倒に巻き込まれたときに選択できる対処方法が限られていることもあって、困惑することになるだろう。いずれにせよ、これらをちかくで見かけたら、ソッコウ会計、ソッコウ帰宅が鉄則だ。

タイに住んでいる日本人たちのあいだではあまり知られていないが、日本人の会社員であれば、この程度のことはタイへ赴任する前に会社から言われて受講する研修で教わっているような基本中の基本だ。そんな初歩すら忘れていた僕自身の自業自得と言ってしまえばそれまでのことだが・・・・・・。

タイ在留日本人隔離施設留保法は、タイの政府や議会に働きかけて法制化したろ、その条文のなかで規定したりするようなものではなく、わたしたち日本人による日頃の自主的な努力によって実現させていかなければならない。

ABOUTこの記事をかいた人

2001年に金融機関の社内SEを辞めてタイへ渡り、タイ国立ヂュラーロンゴーン大学文学部が開講している外国人のための集中タイ語講座、インテンシブタイ・プログラムを修了しました。その後、アメリカ・ロサンゼルスにおける語学留学を経て、2006年にヂュラーロンゴーン大学大学院の東南アジア研究科修士課程を修了。以来、機械部品商社の海外営業、生産設備商社の海外営業を経験し、現在は機械メーカーの国内営業部門で海外現法向けの部品輸出を担当しています。