ベトナム人の方がイケてるけど (タイ人とのベトナム旅行1)

「本日は、ノック航空3208便、ハノイ行きにご搭乗くださいまして、誠にありがとうございます。当機の機長はウィチャイ。客室乗務員はソムちゃん、オーンちゃん、パットちゃん、そしてわたくし客室サービス責任者のギフトちゃんです」

ノック航空は、タイ商業銀行系のタイパーニット管財と王室財産庁系のラダーワン投資が2004年に共同出資して設立された格安航空会社で、タイの国内外にある9つの都市に就航しており、機材はタイ国際航空からリースしてきたものを使っているという。ビジネスクラスの機内食がエコノミークラス並み、エコノミークラスの機内食が機内で60バーツで販売されている即席麺と、サービスの面でさまざまな簡素化が図られている。

今夜のベトナム行きチケットは、10月1日の予約開始と同時に、友人がクレジットカード決済でオンライン予約しておいてくれた。費用はひとりあたり3,172.67バーツで、その内訳は、航空運賃が6バーツ, 燃油料が1,500バーツ、保険料が400バーツ、事務手数料が300バーツ、空港使用料が1,166.67バーツだった。そして、あらかじめ予約していた午前10時15分発の DD3200 便に乗ろうとバンコク・スワンナプーム空港へ行ったところ、なぜかその便が欠航になっていたため、代わりに午後6時発の DD3208 便に振り替えられ、座席が通常のエコノミークラスから Nok Plus へアップグレードされていた。

はじめてのベトナム旅行にもとより少し腰が引けていたが、この機内アナウンスを聞いたせいでいよいよ不安になってきた。友人に「この飛行機、本当に飛ぶのか!?」と聞いてみたところ、「さあね」という答えが返ってきた。成田・バンコク間を結ぶ570人乗りの Boeing 747-400 が空飛ぶ貨客船であるのなら、この144人乗りの Boeing 737-400 はさしずめ空飛ぶ路線バスといったところだろうか。

「さっき、乗務員が『毛布は持っていってもいいけど枕だけは返して』と言って、これとこれを持ってきたんだけど、あの口の利き方は、ふつうのサービス業では到底考えられない」

時間の経過とともに大きくなっていく僕たちの心配を余所に、ノック航空の DD3208 便は午後6時にスワンナプーム空港から出発し、午後8時20分、ベトナム社会主義共和国の首都の空の玄関口、ノイバイ国際空港に無事着陸した。

空港のターミナルビルから外へ出ると、発展途上国ならどこでも同じだが、タクシーの客引きの男が近寄ってきて声をかけてきた。あわただしく誘導して、右も左も分からない観光客から冷静な判断力を奪い、値段交渉を有利に進めようとする、あれだ。結局、タクシーの運転手はメーターの使用を頑なに拒み、12アメリカドルの相場に対して15アメリカドルを要求してきた。

東アジア系の人々であれば、どうせ同じ規則違反をするのなら思いっきりド派手にやってやろうと考えそうなものだが、ベトナム人はタイ人と同じように「ささやかなボッタクリ」をするためにルールを犯すような人たちなのだろうか。

ハノイ市内を走っている普通車のタクシーは、必ずどこかのホテルに所属しているようだった(軽自動車のタクシーとなると必ずしもそうとは限らないらしい)。ホテル Sofitel Plaza Hanoi (1泊130アメリカドル)にチェックインしてから、ハノイ市内に唯一あるカジノを楽しむためにホテルのタクシーに乗ってホテル Fortuna へ向かった。

そのホテルには、僕が楽しみにしていたブラックジャックをプレイするためのテーブルはなかった。フロア全体が静かなパチンコ屋といった雰囲気で、店内にはスロットマシーンが数十台あるだけで、テーブルはバカラ台がひとつあるだけだった。やむなく店内ひとまわりしてから、すぐにホテルの外へ出た。

このままでは面白くないと思って、ドアマンにオススメの観光スポットを運転手に伝えてほしいと言ってからタクシーに乗り込んだところ、少し離れたところにある夜店街で降ろされた。

「こうやって見てみると、タイのオトコよりベトナムのオトコの方が美形の割合が圧倒的に高いような気がするんだけど・・・・・・、ちょっと難点があるのよねぇ」

週末の夜、 Hoàn Kiếm 湖と ĐÔNG XUÂN 市場を結ぶ全長約800メートルの通りは歩行者天国になっており、生活雑貨をはじめ、軽食や土産物を販売している屋台などが並んでいた。午後10時40分時点のハノイの気温はわずか13度しかなかった。道行くベトナム人の若者たちはダウンコートを着込んで寒さを凌いでいたが、友人はフェイクファーが付いているだけの薄手の上着しか用意していなかったため、ガクガクと震えていた。

一般的に、冬物の服は夏物よりもオシャレがしやすい。そのことを差し引いて考えてみても、ベトナム人男性の容姿は(タイ人の価値基準に照らして考えてみた場合)全体的に水準が高かった。顔だけを撮影したスナップ写真なら、半数ぐらいはタイのテレビ局が募集しているオーディション番組の書類選考に通過できそうだ。ベトナム人女性の容姿も整ってはいるが、それでも背の低さだけはどうしても気になった。

統計によると、ベトナム人男性の平均身長は163センチメートルで、タイ人男性の165センチメートルと比べても大差ない。しかし、バンコクに住んでいるタイ人の平均身長は地方の農村部に住んでいるタイ人より6センチぐらい高いと言われているため、バンコク在住の友人の目には、ベトナム人の男性がタイ人男性より8センチぐらい低く映っていたとしてもおかしくはない。どう見たって身長が155センチもあるとは思えないような小柄な「イケメン」たちがたくさんいるのだから、そりゃあ友人が複雑な心境になるのも仕方ない。ベトナム人女性の平均身長も同様に低く、いわゆるタイフリークたちを自称している一部の幼児性愛者たちがこれを見たら、大喜びをしてはしゃぎ回るかもしれない。

一方、日本人男性の平均身長170センチメートル(20歳平均, 2005年)に対して僕の身長は169センチメートルだから、自分より背が高い人と低い人の割合は日本ではせいぜい半々ぐらいだが、ここでは僕より背が高い人が20人に1人いるかどうかといった感じで、まるで自分がバスケットボール選手並みの長身になったかのように思えた。

朝、ホテル The Siam City Suite で朝食をとってから、サヤームスクウェアにある美容室 Art Hair 2 へ行って洗髪とブロー(150バーツ)をした。友人(女性, 100バーツ)の方が安かったのは不思議だった。その後、ウォングサワーング通りにあるスーパー Big-C でいったん友人と別れて、ひとりタクシーでスワンナプーム空港へ向かい、空港でふたたび友人と合流した。

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ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。