2007年8月29日(水)

「地方の自動車整備工ってバンコクとは比較にならないほど腕が悪いから、難しい修理をさせると、当てずっぽうな作業で修復不可能な状態にされかねない。こうなってしまったらもう、『かかりつけの医者』を呼ぶか、バンコクまで牽引して帰るかしかなさそうね」

午後6時、タイ国道304号チャチューングサオ(チャチュンサオ)・ガビンブリー線を走行中、ノーングプローング交差点(ノーンプロン交差点)のど真ん中で、友人所有のトヨタ・カローラ(1994年式, 走行距離約240,000km)が突如エンストした。以降、アクセルを連打踏みしては再始動を繰り返していたが、プラーヂンブリー県(プラチンブリー県)スィーマハーポー郡タートゥーム町(人口9,379)で午後6時10分、とうとうエンジンがかからなくなった。惰性走行でタイ商業銀行(タイパーニット銀行)クローングラング支店前にクルマを寄せ、近くにある小さな自動車整備工場まで未舗装路の泥濘のなかを友人と歩いた。

タイ国内には、驚くほどたくさんのニセモノ自動車部品が出回っている。エンジンオイル中のダストを取り除いて磨耗を減らす「燃料フィルター」( NTN JAPAN 製, 工賃込350バーツ)を整備工の勧めで交換したが、 NTN 株式会社は大阪に本社がある軸受専業会社(同社 Website より)。つまりこの製品は、日本のブランドネームを騙るニセモノで、燃料フィルターを素通りしたダストがエンジンにダメージを与えてしまう粗悪品だ。タイでクルマを修理するなら、ウォーラヂャックでまともな補修用部品を用意してから自動車整備工場に修理を依頼するか、純正部品を使って修理してくれる正規ディーラー店に持ち込むしかない。

午後8時半、整備工は燃料ポンプを交換しようとしたが、部品屋の閉店を理由に修理を断念。午後11時30分、はるばるバンコクから来てくれた馴染みの整備工が修理を試みるも、同様の理由から明日午前9時以降に持ち越された。

タイ航空643便ナコーンナーヨック号は定刻より45分早い午後1時45分、バンコク・スワンナプーム国際空港に到着。空港第2駐車場ビルから友人のクルマを運転して、カンボジア国境があるサゲーオ県(サケオ県)アランヤプラテート郡へと向かった。途中、日系工場が多数進出していることで知られるガビンブリー郡の手前22kmの地点にあるスィーマハーポー郡タートゥーム町でクルマが故障。30日午前1時半、やむなく同町のアパート「ヂェーヂェーアパートメント」(日貸550バーツ)8号室に宿泊した。

2007年8月30日(木)

「途中から乗ってきて、あなたの隣に座った高校生、覚えてる? まだガラガラだったのにあの席を選んだのは、あなたに興味があったからじゃないかしら」

バンテイメンチェイ州ポーイペート郡のカジノ街、午前零時。砂ぼこりが舞う Golden Crown Casino から Ho Wah Genting Poipet Casino Resorts へと向かう道中、次々とやってくるバイクタクシーの営業を交わしながら、友人が3時間10分の2等冷房バスの旅をこう振り返った。

2等冷房バスは、どこでも好きなところで乗り降りできる長距離バス(ただしバンコク都内を除く)。それだけに停車回数が多く時間もかかるが、冷房でキンキンに冷えているバスの車内から、タイならではの風情を田舎音楽とともに堪能できる。ちなみに、「あの高校生」とは、サゲーオ県ワッタナーナコーン郡のワッタナーナコーン工業高専前から乗ってきた、幼稚園児用のスモックと女子高校生の制服を足して2で割ったような制服を着ている女子前期高専生(16~18歳までの教育)のこと。スタイルの良さとナマ足からボーボー生えている毛のことしか覚えていないが、荷物の都合で少し離れたところに座っていた友人には冒頭にあるコメントのように映ったという(タイでは髭モサモサ脛毛ボーボーは女子大生でも珍しくないが・・・・・・日本から来たばかりだと、やはりどうしても気になる)。バスはアランヤプラテート郡の検問所で停車し、車内に乗り込んできた重装備の国境警察が乗客全員の身分証を検め3人を連行していった。

午前10時、プラーヂンブリー県スィーマハーポー郡タートゥーム町(人口9,379)にあるアパート「ヂェーヂェーアパートメント」をチェックアウト。バンコクから自動車整備工が来るまでの時間をつぶすために、街の中心部にある美容室「ニッダーサロン」で洗髪とブロー(60バーツ)をした。午後1時10分、整備工から到着が遅れるとの連絡が入り、やむなく同町のアパート「ヂェーヂェーアパートメント」にクルマを預けたまま、アパート前から2等冷房バス(ペートリウ発アランヤプラテート行, 90バーツ)でカンボジア国境へと向かった。

午後4時20分、アランヤプラテート・バスターミナルに到着。そこから約7キロ離れているカンボジア国境までトゥクトゥク(ひとり50バーツ)で移動。ローンググルア市場で買い物をしてからアランヤプラテート出国審査場へ行くと、係員が「帰りの航空券がないと再入国できない場合があります」と教えてくれた(不適格外国人滞在者排斥の気運が高まり、ノンビザ資格で滞在している日本人は軍事クーデター勃発11日後の2006年10月1日以降、直近180日のうち90日間をタイ国外で過ごさざるをえなくなった)。午後5時、徒歩で国境を越えてカンボジアの到着ビザ(1,000バーツ)を取得し、タイ側アランヤプラテート出国審査場とカンボジア側ポーイペート入国審査場のあいだにあるカジノホテル Holiday Palace Resort & Casino (1,100バーツ, カジノチップ500バーツ込)にチェックイン。ホテルにある中華料理店 Dragon Palace で夕食をとり、ポーイペート入国審査場へと向かった(外国人は一度カンボジアに入国しないとタイに再入国できない)。ちなみに、翌31日午前1時までの戦績はつぎのとおり。

ポーイペート・カジノにおける8月30日の戦績
Holiday Palace Resort & Casino +500
Tropicana Resort & Casino -1,000
Golden Crown Casino +500
Ho Wah Genting Poipet Casino Resorts +500
Star Vegas International Resort & Casino +500
(ブラックジャック台があるのは上記5ヶ所のみ)

アパート「ヂェーヂェーアパートメント」に預けていた友人のクルマは夕方頃、自動車整備工が4時間かけてバンコクまで牽引していったという。

2007年8月31日(金)

「お客さん、どちらの県からいらしたんですか?」

午後1時、ローングルア市場(サゲーオ県アランヤプラテート郡パーライ町, 人口5,097)発ルンピニー行の観光バス(100バーツ)でバンコクへと向かい、途中パノムサーラーカーム郡で約20分間の休憩をとった。午後4時10分、 Big-C バーングナー店前で下車して友人と別れた。そこから勤務先の事業会社へと向かうタクシーのなかで、運転手がそう尋ねてきた。

マズい。1年5ヶ月にもおよぶ東京生活のせいでタイ語の発音が明らかにヘボくなっている。日頃あまり使っていないタイ語を、以前のようにネイティブスピードで話すと、唇や喉の動きがついてこない。全力疾走したときに、運動不足のせいで足がもつれて躓いてしまうかのような遣る瀬ない思いをした。まったくなんてこった。

午後8時、ガセームラートプラチャーチューン病院付近にあるガソリンスタンド Petronas で友人と合流。タイ留学中に着ていたタイ用の服が古くてみすぼらしくなったと友人から指摘され、 Central 百貨店ラートプラーオ店でポロシャツ(750バーツ)を買った。

「タイの王様が外遊帰りに『しばらくタイ語を話していなかったせいで上手く発音できない』って嘆いてたくらいだから、長期間外国にいた日本人のあなたはせいぜいこんなもんでいいんじゃない?」

午後9時、ラームカムヘーング24とターウォーンワット1の交差点にあるガソリンスタンド Shell で友人たちと合流。タウンインタウン通り(スィーワラー通り)にある屋外型料理店「バーンタークアーガート」で夕食をとっていたところ、冒頭にあるタクシー運転手の質問について別の友人がこう慰めてくれた。

午後10時半、ペッブリー1にあるホテル The Bangkok city Suite (800バーツ)にチェックイン。料金には、朝食、30分間無料のインターネット、終日無料の無線 LAN 利用料金が含まれている(僕には無用の長物だが部屋に電子式の小型金庫もある)。

ちなみに、一昨日プラーヂンブリー県スィーマハーポー郡で故障した友人のクルマは、バンコクの整備工がエンジン内部に入り込んだ雨水を取りのぞいたところ正常に動くようになったという。