タイの国立大学、ヂュラーロンゴーン大学の卒業生集合写真撮影

「集合写真の撮影は現在、雨のため一時見合わせています。最寄りの退避所は理学部の1号館です。大学院の修士および博士のみなさんは、再開の案内があるまで、今暫くお待ちください。規則により、学位服を正しく着用していない卒業生の撮影はできません。問題等ございましたら、お早めに本部まで申し出てください。きっと、あなたの役に立てると思います。引き続き、ご案内します。撮影を終えた商学会計学部の修士および博士のみなさんは、建築学部の前にあるブースへ立ち寄って、記名したカードを提出してからお帰りください。忘れますと、あなたの名前が集合写真に載らなくなってしまいます。今一度、お確かめください」

20060701-2@2x午後1時、ヂュラーロンゴーン大学二王像 พระบรมรูปสองราชกาล の裏にある待機所で、ヂュラーロンゴーン大学大学院東南アジア学研究科の修士課程を修了した僕たち5人組は、集合写真を撮影するために学位服をまとい、全身から凄まじい勢いで吹き出してくる汗を拭いながら、別の研究科の卒業生たちとともに撮影の順番が回ってくるのを待っていた(写真一番右が筆者)。

)学位服(アカデミックガウンの着用方法は規則で定められており、配色も学部ごとに異なっている。

ヂュラーロンゴーン大学の学位服
(修士・博士の場合)

  1. 濃紺のスーツ (官吏は礼服、男性の学士は学部指定色のカラーを装着した白色の詰襟)
  2. 長袖の白ワイシャツと大学章がプリントされている大学指定のネクタイ(499バーツ)
  3. 黒色の靴下
  4. 装飾がない黒革靴
  5. 大学章のプラギアオを装着した学位服(1,100バーツ)

 

学位服の学部色(ヂュラーロンゴーン大学の場合)
 

大学院 文学部 商学会計学部 報道放送学部 政治学部
法学部 経済学部 芸術学部 教育学部 医学部
薬学部 獣医学部 歯学部 看護学部 工学部
理学部 建築学部

このときの天候は晴ときどき雨で、気温は32度だった。湿度が61%もあり、屋外の環境は過酷を極めていた。こんなところで、長袖のワイシャツにネクタイを締め、その上にスーツのジャケット、そのさらに上には学位服まで羽織っていたため、あまりの暑苦しさに本当に頭がどうかなってしまいそうだった。ヂュラーロンゴーン大学の学位服はメッシュ状になっており通気性が良く、一部の大学で採用されている黒色のガウンで全身を覆うタイプの学位服に比べれば、まだ少しはマシだったのかもしれない。

この時期、タイは雨季の真っ只中で、熱帯雨林気候特有の突発的な豪雨に見舞われることが頻繁にある。それでも、日本の梅雨のように雨が何日間も続くことはほとんどなく、たいていは雨が降り出してから数十分もすれば止むので、タイ人たちは雨が降ったときに屋根がある場所へ待避することでその場をしのいでいる。

20060701-3@2x

雨は20分もしないうちに止んだ。集合写真を撮影するため二王像の前に設けられていた仮設のひな段へ上がると、カメラの裏手にある関係者用の仮設撮影台の2段目から友人が転落する姿が見えた。どうやら網目状になっている踏板の穴にハイヒールのかかとを引っかけてしまったようだ。

「カメラは、左から右へゆっくりと回転しながら、皆さんを撮影していきます。撮影しているあいだ笛を鳴らし続けますので、その音が聞こえているときには絶対に身体を動かさないでください」

撮影開始の笛が吹かれた。それまでずっと右側を向いて沈黙していたカメラが動き出し、ステージの反対側へ向かって回りはじめた。大急ぎで真面目で賢そうな表情を作り、カメラのレンズが自分のほうへ向くのをじっと待った。途中で「やっぱり、こっちの表情の方がいいや」と言って優柔不断な行動に出れば、のちのち後悔することになるかもしれない。

そのときは真面目な表情を作ることに精一杯で、仮設の撮影台から転落した友人のことを完全に忘れていたが、友人はすぐに元の位置へ戻って、しっかりと写真を撮っていてくれた。あとで確認してみたところ、なかなか良く写っていた。

撮影を終えると、自分の立ち位置が印字されているカードを撮影業者の係員から受け取り、建築学部の前に設置されていた仮設テントへ行って、自分の名前をタイ文字で書いて提出した。

この集合写真には、卒業生ひとりひとりの氏名が併記され、9月中旬に友人の実家へ届けられる手筈になっている。日本へ発送するように業者に依頼してみたが断わられた。料金は24インチの額に入っているタイプで650バーツだった。

タイ人のクラスメートたちはそれぞれ会場へ来ていた両親と帰宅し、ラオス人のクラスメートたちも大急ぎで母国へ帰っていった。友人たちは「花束では日本へ持って帰れない」と言って、代わりに学位服を着ている熊のぬいぐるみをくれた。

その後、文学部本館の前で熊のぬいぐるみを抱きかかえながら友人達と記念写真を撮影し、友人がクルマを駐めていたサヤームパラゴンへ行って映画を鑑賞した。ナラーティワートラーチャナカリン通りにあるパブ Connection で夕食をとり、欧米料理店「スィップサームリアン」のスラウォング店に併設されている宿泊施設(650バーツ)にチェックインした。

学位授与式の本番が行われる2週間後まで休暇を連続して取り続けられるはずもなく、翌2日午前6時50分発のユナイテッド航空853便で日本へ帰国した。

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  •  ケイイチさん

     まずは、ご卒業おめでとうございます。長年努力されてきた分、感慨もひとしおなのではないでしょうか。

     「バンコク留学生日記」もいよいよクライマックスですね。ここまでとても楽しく読ませていただいていただけあって、終わってしまうのはとても寂しく思います。

     私の北京留学は、まだまだ続きます。私もアカデミックガウン(中国バージョン)を着られるよう、頑張りたいと思います。

     エピローグの続き、とても楽しみにしています。

     ※「バンコク留学生日記」を通じて、Endorphineの音楽を聴きました。とてもいいですね!是非CDを購入したいのですが、日本でも買えるでしょうか?可能なようであれば、今月15日から2週間帰国する際に、購入したいと思っています。難しいようであれば、タイに帰国している友達に頼んで買ってきてもらおうと思います。

  •  ケイイチさん

     まずは、ご卒業おめでとうございます。長年努力されてきた分、感慨もひとしおなのではないでしょうか。

     「バンコク留学生日記」もいよいよクライマックスですね。ここまでとても楽しく読ませていただいていただけあって、終わってしまうのはとても寂しく思います。

     私の北京留学は、まだまだ続きます。私もアカデミックガウン(中国バージョン)を着られるよう、頑張りたいと思います。

     エピローグの続き、とても楽しみにしています。

     ※「バンコク留学生日記」を通じて、Endorphineの音楽を聴きました。とてもいいですね!是非CDを購入したいのですが、日本でも買えるでしょうか?可能なようであれば、今月15日から2週間帰国する際に、購入したいと思っています。難しいようであれば、タイに帰国している友達に頼んで買ってきてもらおうと思います。

  • > mingzi さん

    お祝い、ありがとうございます。山あり谷ありのバンコク留学でしたが、5月30日の大学評議会で学位が認定され、6月13日に無事修了できました。4年前に定めた目標を無事にクリアできたことを、嬉しく思っています。

    現在、日本国内の企業で働いており「留学生日記」を継続することができないため、残りの数日分で終了とせざるを得ませんが、近々「バンコク駐在員日記」として再出発できればと考えています。もしかしたら、少し日記の雰囲気が変わってしまうかもしれませんが、今後ともタイやバンコクに興味を持っている皆さんに有意義な情報を発信し続けていきたいと思っています。

    あの民族衣装っぽいアカデミックガウンですが、学位授与式当日にクラスメートに尋ねたところ、どうやらバラモン教の影響を受けたものなんだそうです。

    タイ仏教は基本的に、土着の信仰である精霊信仰と仏教、それから王権を正当化するのに欠かすことのできないバラモン教の影響を受けており、大学の卒業式をこれに準ずる「儀式」として位置づけた結果、こうしたアカデミックガウンになったということでした。

    エピローグの続きは、おそらく来週の頭あたりに掲載できるのではないかと思っています。実は、通勤の電車の中で、地道に携帯電話のボタンをポチポチと押しながら書いているので、いつ完成するのか皆目見当が付かないのです(笑)

    P.S. Endorphine の CD ですが、おそらく一般のレコード店にはおいていないのではないかと思います。もしかしたら、大久保の近くにあるタイのテレビ番組をビデオカセットに収録してレンタルしている店に行けば入手できるかもしれません。僕が最後にその店へ行ったのが、アメリカ留学を始める2003年頃でしたので、いまでは詳しい場所を覚えていません。きっと、タイ人の友人に頼んだ方が良いと思います。あ、今月の頭あたりに Endorphine のベストアルバムが発売されたそうですよ。

  • > mingzi さん

    お祝い、ありがとうございます。山あり谷ありのバンコク留学でしたが、5月30日の大学評議会で学位が認定され、6月13日に無事修了できました。4年前に定めた目標を無事にクリアできたことを、嬉しく思っています。

    現在、日本国内の企業で働いており「留学生日記」を継続することができないため、残りの数日分で終了とせざるを得ませんが、近々「バンコク駐在員日記」として再出発できればと考えています。もしかしたら、少し日記の雰囲気が変わってしまうかもしれませんが、今後ともタイやバンコクに興味を持っている皆さんに有意義な情報を発信し続けていきたいと思っています。

    あの民族衣装っぽいアカデミックガウンですが、学位授与式当日にクラスメートに尋ねたところ、どうやらバラモン教の影響を受けたものなんだそうです。

    タイ仏教は基本的に、土着の信仰である精霊信仰と仏教、それから王権を正当化するのに欠かすことのできないバラモン教の影響を受けており、大学の卒業式をこれに準ずる「儀式」として位置づけた結果、こうしたアカデミックガウンになったということでした。

    エピローグの続きは、おそらく来週の頭あたりに掲載できるのではないかと思っています。実は、通勤の電車の中で、地道に携帯電話のボタンをポチポチと押しながら書いているので、いつ完成するのか皆目見当が付かないのです(笑)

    P.S. Endorphine の CD ですが、おそらく一般のレコード店にはおいていないのではないかと思います。もしかしたら、大久保の近くにあるタイのテレビ番組をビデオカセットに収録してレンタルしている店に行けば入手できるかもしれません。僕が最後にその店へ行ったのが、アメリカ留学を始める2003年頃でしたので、いまでは詳しい場所を覚えていません。きっと、タイ人の友人に頼んだ方が良いと思います。あ、今月の頭あたりに Endorphine のベストアルバムが発売されたそうですよ。

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。