ナコーンナーヨック県自然探訪の旅

「観光庁の電話番号を教えてください」

午後1時50分、バンコクの中心部にあるアヌサーワリーチャイサモーラプーム(戦勝記念塔)を起点にして、タイ最北端にあるチアングラーイ県のメーサーイ郡まで伸びているタイ国道1号パホンヨーティン通りを運転していたところ、パトゥムターニー県にあるバンコク大学ラングスィット校舎の前にさしかかったあたりで、友人が自分のキャリーバッグのなかからおもむろに携帯電話を取り出して、昨年7月にタイ電話公社から民営化されたばかりのTOTコーポレーションが提供している番号案内サービスの1133に電話をかけて、タイ政府観光庁の電話番号を聞き、ナコーンナーヨック県にある観光名所について問い合わせた。

留学時代、この友人の1133と問い合わせの連続技によって、何度助けられ、何度窮地に立たされたことか。普通、僕の動向について探りを入れようと思い立ったときに、あいまいな情報をもとに僕が住んでいるコンドミニアムを特定し、管理事務所の電話番号を聞き出して実際に電話をかけ、さらにそこから守衛所に内線電話を回してもらって、「彼はもう帰宅していますか?帰宅したときにどんな人と一緒でしたか?」とは聞かないだろう。

タイ政府観光庁の職員によると、バンコクの北東112キロのところにあるナコーンナーヨックには、県内にふたつの観光名所があるという。ひとつは、タイ国道305号ラングスィット・オンカラック線の沿道にあるプラヂュンラヂョームグラーオ陸軍士官学校に併設されている射撃場とアスレチックコース。もうひとつは、ワングタクライの滝とクローングターダーン・ダム。このとき小雨が降っていたため、クルマのなかからでも楽しめる滝とダムへ向かうことにした。

ワングタクライの滝は、ナコーンナーヨック県の県都から16キロほど離れている県道3049号プラトゥーナームプラピモン通りにあって、渓流下りなどのアトラクションが楽しめるほか、王族のモムラーチャウォングユィング・パンティップボリパットが所有している1500ライの広大な土地には多種多様な花が咲いている。入場料は、徒歩がひとり10バーツ、自家用車1台(4人まで)が100バーツとなっており、外国人向けの特別料金は設定されていない。都市部から離れているところにあるため、入場者は少なく、都会の喧騒を忘れて自然を満喫するのには最適かもしれない。

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クローングターダーン・ダムは、プーミポン・アドゥンヤデート国王の指示によって1997年に着工し、8年間の工期を経て今年2006年に完成した(註:このダムの名称は2006年6月に「クンダーンプラーガーンチョン・ダム」へ変更となっています)。コンクリート構造のダムとしては世界最長の2,720メートルあって、高さ93メートルのダムのなかには日本第6位の九頭竜ダムより少し多い2億2400万立方メートルの水を蓄えることができる。ナコーンナーヨック川とその下流にあるバーングパゴング川の氾濫を防ぐために、カオヤイ国立公園から流れ出してくる水を貯えている。ダムの周辺では、地元の若者達がピックアップトラックから田舎演歌のルークトゥンを流しながらビールを飲んでいた。

これらの観光地を簡単に見て回ってから、帰宅ラッシュの渋滞のなかをバンコクまで引き返してきた。サヤームパラゴンで夕食をとり、サヤームの界隈を散策してから、ステーキ・イタリア料理店チェーン「スィップサームリアン」(13 Coins)のラッチャダー店に併設されている宿泊施設へ向かった。宿泊料金は1泊700バーツだった。

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ケイイチ
バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。