タイ・プーケット島でスクーバダイビングをしよう! その1

「料理、ちょっと注文しすぎなんじゃないの? ただでさえ明日から黒くなるというのに、これでデブになったらもうオシマイよ。子供だったら『ウワンダム』と言って可愛がってもらえるところかもしれないけれど、あなたはもうそういう歳ではないんだし。それから・・・・・・もう遅いから、わたし、このスパゲッティー・カルボナーラは食べないからね。自分で注文した料理は、自分の責任で食べてちょうだい♡ 」

午前零時42分、プーゲット島のパートーング海岸沿いにある海鮮料理店「パパヤ・タイレストラン」で、友人はテーブルいっぱいに並んでいる料理を目の前にして、大きく溜息をついた。本帰国を目前に控えて予算を消化するための活動の一環とはいえ、これを全部食べ切らなければならないと思うと、少し憂鬱になる。

タイでスクーバダイビングのライセンスを取ることについて、これまでも考えたことは何度かあった。特に昨年11月にレーシック(視力矯正手術)を受ける直前には、術後数ヶ月間は激しい運動ができないから先に済ませておこうと、なかば真剣に検討してみたが、とある理由から、本帰国を控えた今日までずっと先送りにしてきた。

タイにおける社会的地位を、自らのおこないによって低下させてしまうような愚かな真似は、是が非でも避けておきたい。

タイには、中国系のタイ人には教養があれば金もあるといった、一種の固定観念のようなものがある。タイにおける実力者の大半が華人で占められていることを考えれば、確かに真実の一端を正しく言い表しているようにも思えるが、他方ではその他大勢の凡庸な華人たちの存在を完全に無視している暴論とも言える。真実がどうであれ、このような思い込みが人々のあいだに深く根付いているタイの社会において、相手の素性を推し量るときに「肌の色が白い = 中国系っぽい = 教養があって金もありそう = イケてる」という構図が参考にされていることはもはや疑いようのない事実であり、好むと好まざるとに関わらず、タイで理不尽な扱いを受けることを避けたいのであれば、このような価値基準にもある程度は合わせて行動ざるを得ない。

同時に、肌の色が黒い人々が差別的な扱いを受ける原因になっているとして、深刻な社会問題にもなっている。通常、この類の差別には、方言がダサいとか、何を言っているのか分からないとかいった追加的な要素も加わっている。貧富の格差が著しいタイでは、肌の色が黒い人は屋外で働いている時間が長い単純労働者(ガンマゴーン)や農民(チャーオナー)に決まっている、といった思い込みが支配的で、「肌の色が黒い = 教養がない単純労働者 = 所得が低い = ヘボい」といった構図が完全にできあがってしまっている。タイのテレビで放送されているコメディー番組の配役を見ても分かるように、日常生活のさまざまな場面において、このような考え方が人々の深層心理の奥底に刷り込まれている。

「西洋人がビーチで一日中寝っ転がって日焼けをしているのは、まだ分からなくもないわ。でもね、お金を出してまで日焼けをするための施設(日焼けサロン)へ通っている日本人の考えはまったく理解できない」

それもそのはずだ。日サロへ通うなんて、タイ人の発想からしてみたら、ヘボくなるために時間とカネを無駄に費やす愚行以外の何物でもないのだから、どう考えても「合理的である」といった結論には結びつかない。これが、タイ人のあいだでマリンスポーツが流行っていない理由なのであり、だからこそタイのビーチには西洋系の外国人しかいないのだ(タイ人が貧しくてレジャーを楽しむだけの経済的な余裕がないわけではない)。

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昼過ぎ、スワンプルー通りにある入国管理局へ行って留学ビザの期限を半年後の10月まで延長してもらった。現在、タイの官公庁が一丸となって推し進めている「ワンストップサービス化」(さまざまな公的な手続きを、ひとつの窓口で完結させることができる仕組みの整備)にともなって、ここでも特別査証を取り扱っている1階にある1番窓口が拡張されて、2階の203号室にあった特別査証課がそっくりそのまま移転してきていた。

窓口には超過滞在者に対する科料が値上げになるという告知が掲示されていた。これまで滞在超過1日につき200バーツだった科料が500バーツに変更されるという。

午後4時にはスクンウィット13街路にある住まい Sukhumvit Suite 17階の自室へ戻り、そこから大急ぎで友人とタクシーに乗り込んで、バンコク・ドーンムアング国際空港の国内線ターミナルへ行き、午後6時すぎのオリエントタイ航空263便でプーゲットへ向かった。運賃は片道でひとり1,650バーツだった。

友人は両手一杯に書類の入れ物を抱えていた。なんでも、先月タイの南部へドライブに出かけた際に、自分の仕事を職場の同僚にすべて任せっきりにしたところ、復帰後の事後処理にひどく骨を折ったそうで、今回はその反省から、僕がスクーバダイビングの講習を受けているあいだの空き時間を利用して、ホテルの客室で通常通り業務をこなすことにしたという。ちなみに、このような勤務態様が可能になったのは、携帯電話キャリアの AIS が最近はじめた時間帯指定の定額通話サービスのおかげだという。

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ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。