タイの時代劇テレビドラマ「ナーングバープ」を見てみた

20060213@2x

「テレビドラマにハマったことはこれまであまりなかったけれど、今回はせっかく15話まで見たんだから、最後まで見ておかないと損よね?」

午後8時半、スクンウィット13街路にある住まい Sukhumvit Suite 17階の自室で友人が言った。ここのところ、チャンネル3で放送されているシリーズ全17回のテレビドラマ นางบาป(ナーングバープ:悪行婦人)が友人たちのあいだで流行っている。

この物語は、テレビ番組の制作会社でディレクターをしているウィッサヌが企画した「悪行婦人」の伝承をドラマ化した作品が採用されたところから始まる。伝承によると、19世紀にプラワナーテープとクンガムライの夫妻は、奴隷を引き連れてここへやってきたが、本妻のクンガムライとその子供は、自らが本妻に取って代わることを企てていた、奴隷でありながら主人プラワナーテープの愛人まで上り詰めたナーングヤートの手によって毒殺されてしまった。ウィッサヌは、このドラマのキャストに、タナットを主人公、パーピモンをヒロインに起用して、パットラーを悪女役、パーンを脇役とした。

ドラマ「悪行婦人」のクランクインを発表するイベントで、ディレクターのウィッサヌは自分の片腕となって働いているルアングリンを役者たちに紹介した。ルアングリンは役者たちと協力関係を築くことに成功したが、ヒロイン役のパーピモンだけは男性の俳優たちの関心がルアングリンひとりに向けられていることに気付いて密かに腹立たしく思っていた。ルアングリンは、準備のために撮影クルーたちと「悪行婦人の村」へ赴いたところ、何者かに見られているような視線を感じた。ある晩、その家に取り憑いているナーングヤートとナーンヨット姉妹の亡霊から、この家で起こった出来事について裏の事情を知らされることになった。

悪行婦人の村でおこなわれたロケでは、大雨や洪水が頻繁に起こり、撮影の中断を何度も余儀なくされた。ヒロイン役のパーピモンは、撮影が中断されているあいだの暇を潰すために、広報を担当しているウィサーを誘って「幽霊のコップすくい」という遊びを家の守護霊を召還する手順を省いておこなったところ、突然コップが粉々に砕けて、それぞれルアングリンの身体にはナーングヨットの霊が、悪女役のパットラーの身体にはナーングヤートの霊が取り憑いてしまった。ルアングリンに取り憑いたナーングヨットは、現世の人々に対して強い関心を寄せた。

脇役のパーンは、悪女役のパットラーが撮影用の奴隷の衣装を身にまとったまま水浴びをしている姿を目撃して、そのことをディレクターのウィッサヌに報告した。ウィッサヌは、ナーングヤートの霊からルアングリンの身体にナーングヨットの霊が取り憑いていることを知らされ、警戒を怠らないように忠告を受けて、お守りであるプラクルアングをルアングリンに持たせたが、ウィッサヌに好意を抱いている広報のウィサーによって毎回のように取り上げられていた。そのことで、ウィッサヌとウィサーの反目は次第に激しくなっていった。

ウィサーは、激昂した状態のままクルマを運転していたところ、道路から外れ、水の中へ落ちて溺れてしまった。救助に向かったウィッサヌは、水位が下がってきたところで大僧正に遭遇し、ナーングヤートの霊を成仏させるためには精神を集中する必要があると言われた。そして、自分の前世が多くの妻を囲っていた浮気者のプラワナーテープであったことをはじめ、パーピモンの前世がナーングヨットとナーングヤートによって苦しめられてきたクンガムライであったこと、クンガムライとその子供達を毒殺したとして殺されたナーングヤートは実はナーングヨットによってハメられていたこと、すべての事情を知った母親のユアンによってナーングヨットが刺し殺されたこと、呪われたナーングヨットがこの家に封印されたことなど、事件の真相を知ることになった。

広報のウィサーに取り憑いていたナーングヨットは、主人公役のタナットがルアングリンに好意を抱いていることを知ると、ルアングリンに不満を抱いている脇役のパーンを唆して、撮影クルーたちのあいだに争いごとが生じるように画策した。ところが、ルアングリンはいつもパーンに助けられていたため、パーンに全幅の信頼を寄せるようになり、すべての企ては無駄に終わった。ナーングヨットは、ナーングヤートが取り憑いているルアングリンを深夜の水辺に誘い出して水のなかへ叩き落としたが、そのときにルアングリンの首にかけられていたプラクルアングが外れてしまった。

ウィッサヌは、ナーングヨットを救い出すために、ルアングリンに取り憑いているナーングヤートを召還し、パーピモン、パーン、ルアングリンの3人と「幽霊のコップすくい」をおこなった。ところが、ウィサーに取り憑いているナーングヨットは成仏させられることを恐れ、タナットを激高させようと試みたが、叩かれて意識を失い、病院へ運ばれた。見舞いに来た母親のユッパディーは、ナーングヨットの母親ユアンの生まれ変わりだった。ユッパディーはウィサーの姿を見て涙を流し、その涙がこぼれ落ちると同時にナーングヨットはふたたび呪われて、この家に封印されてしまった。そして、パーンとルアングリンが交際を始めるようになると、この伝承を修正することがとうとうできなくなってしまった。

この作品は、タイ人が信仰している「タイ仏教」における呪いや憑依といった概念をベースに、視聴者の愛国心をかき立てるような歴史的な文化観や、ミーハーな若者向けに恋愛の要素を織り交ぜているなど、とても興味深い構成となっている。登場人物の人間関係がとてもゴチャゴチャとしており上手く説明できないが、だいたいこんなカンジのストーリーだった。

昼すぎ、スィーロム通りにある珈琲屋へ友人と出かけ、帰宅後に自室で別の友人とテレビドラマを観た。ちなみに、ナーングバープのほかには、毎週金曜日から日曜日の午後8時半から放送されている เลดี้มหาชน(レディーマハーチョン:大衆女性)や、毎週木曜日の午後10時半から放送されている เป็นต่อ(ペントー:優位)なども人気がある。

ABOUTこの記事をかいた人

2001年に金融機関の社内SEを辞めてタイへ渡り、タイ国立ヂュラーロンゴーン大学文学部が開講している外国人のための集中タイ語講座、インテンシブタイ・プログラムを修了しました。その後、アメリカ・ロサンゼルスにおける語学留学を経て、2006年にヂュラーロンゴーン大学大学院の東南アジア研究科修士課程を修了。以来、機械部品商社の海外営業、生産設備商社の海外営業を経験し、現在は機械メーカーの国内営業部門で海外現法向けの部品輸出を担当しています。