六本木界隈のクラブ (バンコク留学生日記番外編)

「シューマス ก็(ゴー) ・・・・・・ダイジョーブ」

深夜、六本木にある多国籍クラブ Muse の地下3階で、不細工な日本人男性が、超不細工な南部系のタイ人女性に言い寄っていた。女性はダンスフロアがある地下2階へと通じる階段を駆け上りながら、男性の「じゃあ週末は大丈夫?」という問いかけに対して振り向きもせず、冒頭のように答えていた。ちなみに、タイ語の「ゴー」にはいろいろな用法があるが、この場合は「う~~ん」といった意味合いが強い。

午前0時16分、地下鉄六本木駅の3番出口から地上へ出た。終電間際であるにもかかわらず、六本木交差点の前には日中のオフィス街のように人々がひっきりなしに行き交っており、商業ビルの2階に設置されている大型の液晶モニターにはパラパラ全盛時代のダンスミュージック Night of Fire が大音量とともに映し出されていた。

そういえば、大学1年生の夏に、せめてこれぐらいは踊れるようになろうと、ビデオを見て練習したこともあったっけ。あれから9年が経ったいま、東南アジアでいろいろと不思議なものを見てきた結果、フニャフニャしている謎のタイ文字を何不自由なく読み書きできるようになった。そんな自分が、当時と同じ曲を聴いていることに、時代の流れを感じた。

友人によると、六本木には数多くの多国籍クラブがあって、外国人がいないクラブはほとんどないという。六本木3丁目にある大型ディスカウントチェーン「激安の殿堂ドンキホーテ六本木店」の前でロサンゼルス留学時代の友人と合流した。先日、バンコクのクラブめぐりに付き合ったお礼として、今晩は六本木の界隈にあるクラブを何件か案内してもらえることになっている。ほかにも、バンコクで一緒にクラブめぐりをしたイスラエルから帰国したばかりの友人や、外国人男性全員を吸い寄せるパワーを持っているモテモテの友人も加わり、まずは外苑東通りにあるクラブ Hide Out へ向かった。

階段を下りて、地下1階にあるロッカールームでコートやカバンを預け(300円)、さっそく地下2階にあるフロアへ向かった。カウンターでアルコールを注文しようとメニューを眺めてみたところ、せいぜい350ml瓶で600円ぐらいと思っていたハイネケンビールが800円もすることを知って驚いた。しかも友人によると、これはまだ安い方で、ほかの店へ行けば1,000円はすることもあるという。バンコクの60~110バーツと比べると2.5〜4.6倍、 LA のブロードウエーブルーバード沿いにあるクラブの4ドル+チップ1ドルと比べてもなお1.6倍もかかる計算になる(しかし、カウンターでチップを払わなくてもいいのは意外だった)。

男性客のほとんどは西洋人で、日本人を含むアジア系はむしろ少数派だった。女性客は半数程度が日本人だったが、ほかに中国人、韓国人、フィリピン人、タイ人もいる。まれにではあるが、白人や中南米系の女性の姿も見られた(ほかにヤマンバと呼ばれる黒い肌をしている日本人の女性客も若干名いたが、あまりにも美しくないからソッコウで視界から外した)。

R&B に始まりトランスへといった流れでフロア全体が盛り上がりはじめてきた午前2時ごろ、2つのグループに分かれた。寒空の下、ガクガクと震えながら六本木通りを友人と1キロほど歩き、西麻布交差点を左に曲がったところにあるクラブ Muse へ移動した。オシャレなカウンター席で疲労を回復させながら、ロサンゼルス留学時代の思い出話や友人たちの後日談について話を聞いた。エントランスフィーは2,000円(2ドリンク付)で、カクテルはグラス1杯につき900〜1,000円だった。

午前4時半、六本木駅前郵便局の近くにある雑居ビルの3階に入っているクラブ Quest でふたたび友人たちと合流し、午前7時まで無料のシャンパン券などを使って飲み続けた。

ところで、六本木界隈では、タイ産の栄養ドリンク「グラディングデーング(Red Bull)」が流行っていた。どのクラブにもこのアイテムの広告が掲げられており、外国人客がカクテルなどに混ぜて飲んでいた。また、トイレの前でベトナム人の男性とこの栄養ドリンクについて話し合っていたところ、タイ人と間違えられて、

「新宿のホストクラブとかで働いているんですか?」

と尋ねられた。(僕にホストとしての適性があるかどうかはともかく)六本木界隈のクラブには外国人客が多く、人々の意識が自然と多国籍前提になっているような印象を受けた。アジア系の外国人女性が日本国内でホステスとして働いているという話はよく聞くが、アジア系の外国人男性もホストとして働いているのだろうか。

先日、バンコクに住んでいる日本人の友人が興味深いことを話していた。曰く、

「あるブログによると、六本木のクラブに通っている一部の日本人は、バンコクに来て立場を逆転させることに大いなる喜びを見出しているそうだ。目の前でイイオンナたちが外国人の客に次々とかっさらわれて行くところを見て、彼らは日頃から強烈な不満を募らせているが、タイに来て立場を逆転させることによって、そのストレスを発散させようと考えているらしい。タイにハマるのはモテない男ばかりと言われているが、そのような男たちも相当数いるんじゃないか?」

六本木界隈のクラブについては他人に言って語れるほど精通してはいないが、今晩見て回った印象では、六本木界隈のクラブはバンコクよりもイージーそうな雰囲気だった。実際にイージーかどうかはともかく、比較的「オープン」であることは間違いない。さすがにバンコクのクラブ(現地ではパブと呼ばれている)であそこまで露骨に抱きついて歩き回ったら、必ずや露骨に嫌な顔をされること疑いない(たぶん肘打ちを食らう)。さらに、空間的なユニティーを形成している日本のクラブシーンとは違って、バンコクでは仲間内での強固なユニティーが形成されているから、知らない人から話しかけたところでどれだけまともに受け答えをしてもらえるか分からない(それ以前に音量がうるさすぎて会話すらおぼつかない)。

また、バンコクのクラブでは、「オープン」になっている女性の比率があまりにも低すぎるのに加え、そのまま連れて帰って楽しんでしまうといった発想もあまりポピュラーではなく、携帯電話番号を交換して、後日デートを楽しむといったステップを踏むことが多い。そのような煩わしいルールがないのは、カラオケスナックのホステスやソープランドで働く娼婦らでごった返しているラッチャダーピセーク8街路にある Hollywood 、ラッチャダーピセーク6街路にある Dance Fever 、トーングロー通り(スクンウィット55街路)にある Bossy ぐらいのものだろう。そう考えれば、バンコクに来れば立場を逆転できるという発想はあまり正しくない(もちろん娼婦を女性とみなすのであれば一理あるということになる)。より厳密に言えば、仮にタイ人の娼婦たちに対して有効であったとしても、世間一般のタイ人の女性客をゲットすることはできないだろう。

それで、六本木のクラブにいる女性客がどうだったかというと・・・・・・実のところあまりよく分からない。もしかしたら、バンコク都内にある外国人客が多いクラブに見られるような傾向があるのかもしれないし、そうでもないのかもしれない。このあたりのことについてはあまりリサーチしなかったから最後まで分からず仕舞いだった。

午前2時に飲食店を閉店することが義務づけられているバンコクに住んでいると、外が明るくなるまで遊び倒すということに奇妙な違和感や罪悪感がある。一晩の予算は7,000円程度。飲み屋へ行くと思えば決して高くない金額で楽しむ「六本木クラブめぐり」。ハマってしまいそうだ。

それにしても、六本木界隈のクラブもなかなかいいじゃないか。ちょっとしたデートに出かけるのなら、絶対に居酒屋ではなくクラブを選択するべきだ。椅子に座ってカクテルを飲み、気が向いたときにフロアへ行って楽しめばいい。

午前9時40分、インド航空 AI 306 便は定刻より1時間40分遅れて成田空港に到着した。久々の深夜便で、ろくに眠れなかったため、実家に戻ってすぐに、歯も磨かないままベッドへ潜り込んだ。それからおよそ7時間の睡眠ののちに、日本料理店へ行って両親と会席料理を食べてから、ひとりで地下鉄に乗って六本木へ向かった。複数のクラブをまわり、午前7時に店を出た。京都に本店があるという中華料理チェーン「天下一品」に寄ってバンコクにはない「味の素の味がしない味噌ラーメン」を食べて感動し、電車に揺られて帰宅した。

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  • YOKO

    ケイイチは今頃は飛行機の上だね。どうだった? ファーストクラスだなんて羨ましいよ! 私も一回乗ったことあるけれど、韓国までの約1時間半だし、仕事だったからソウルにもい行けずに日帰りだったんだよー!
    今年、韓国は飛行機取りづらいみたい。韓国大人気で。 だからファーストクラスなんて使わせてもらえたんだけれどね。
    六本木は楽しんでもらえたようで、よかったです。
    ってゆーか、いつの間にred bull の話を誰かとしていたの??でも、やっぱりあれはタイの飲み物だったんだ?LAにもあったしMちゃんもNYにあったって言うから私たちはアメリカのものだと思っていたよ。アメリカでは風邪を引いたらred bullみたいな。でも、questにはタイ語で何か書いてあるからケイイチが来たら聞きたかったの。
    私が投稿すると「またケイイチが自作自演やって楽しんでいるよ」みたいなこと彼らが書けて、彼らを楽しませることになるのだろうけれど、気持ち悪いからもう私は見ない。(たぶん)
    だからシンディーはネイティブじゃない。よりもびっくりするようなことが書いてあったらメールで教えてね~。
    でも、最後にあれ見たらケイイチ、(ミューズ)の綴り、間違っていて(muze)って書いているんだけれど、(muse)なのね。 でも、誰かそのまま(muze)って書いていて、以前横田基地からの軍人がたまっていた場所だろ。 なんてmuze?のこと書いてあったから、まぁ、そーゆー人達が集まっている場所なんだろうと・・・・・再認識しました。 笑
    因みに、questも2階ではなく3階だよ~。
    他にも911という箱があって、初めそこに連れて行こうと計画していたのだけれど、なんか今改装中で行けなかったの。
    またケイイチが帰国してきたときに、行きたかったら連れていくからね。 いっつも混んでいて窮屈なとこだけれど。
    今度来るときまでに行きたいとことかあったら言ってね。
    私たちが行ったことない箱でも興味持ったら調べるし。

    じゃぁ、無事にケイイチがタイに帰って、これを見られるように!!!
    Kちゃんの全ての男を吸い寄せる驚異的なモテ方。っていうには私もMちゃんも大笑いだったよ! 確かにあれはすごかった! 笑

  • YOKO

    ケイイチは今頃は飛行機の上だね。どうだった? ファーストクラスだなんて羨ましいよ! 私も一回乗ったことあるけれど、韓国までの約1時間半だし、仕事だったからソウルにもい行けずに日帰りだったんだよー!
    今年、韓国は飛行機取りづらいみたい。韓国大人気で。 だからファーストクラスなんて使わせてもらえたんだけれどね。
    六本木は楽しんでもらえたようで、よかったです。
    ってゆーか、いつの間にred bull の話を誰かとしていたの??でも、やっぱりあれはタイの飲み物だったんだ?LAにもあったしMちゃんもNYにあったって言うから私たちはアメリカのものだと思っていたよ。アメリカでは風邪を引いたらred bullみたいな。でも、questにはタイ語で何か書いてあるからケイイチが来たら聞きたかったの。
    私が投稿すると「またケイイチが自作自演やって楽しんでいるよ」みたいなこと彼らが書けて、彼らを楽しませることになるのだろうけれど、気持ち悪いからもう私は見ない。(たぶん)
    だからシンディーはネイティブじゃない。よりもびっくりするようなことが書いてあったらメールで教えてね~。
    でも、最後にあれ見たらケイイチ、(ミューズ)の綴り、間違っていて(muze)って書いているんだけれど、(muse)なのね。 でも、誰かそのまま(muze)って書いていて、以前横田基地からの軍人がたまっていた場所だろ。 なんてmuze?のこと書いてあったから、まぁ、そーゆー人達が集まっている場所なんだろうと・・・・・再認識しました。 笑
    因みに、questも2階ではなく3階だよ~。
    他にも911という箱があって、初めそこに連れて行こうと計画していたのだけれど、なんか今改装中で行けなかったの。
    またケイイチが帰国してきたときに、行きたかったら連れていくからね。 いっつも混んでいて窮屈なとこだけれど。
    今度来るときまでに行きたいとことかあったら言ってね。
    私たちが行ったことない箱でも興味持ったら調べるし。

    じゃぁ、無事にケイイチがタイに帰って、これを見られるように!!!
    Kちゃんの全ての男を吸い寄せる驚異的なモテ方。っていうには私もMちゃんも大笑いだったよ! 確かにあれはすごかった! 笑

  • > YOKO さん

    9年ぶりのユナイテッドファースト、けっこうレベルが落ちてるって感じだった。アメニティーなんて以前に比べるとクソみたいなものだったし。まあ、ファーストといっても「空飛ぶバス」の一等車のようなものだからこんなもんなのかも。

    三軒目の quest のロッカー横(男子便所前)に red bull のポスターが貼られていて、そこにタイ語が書かれてたよ。そういえば LA にもあったっけ? 一度も飲まなかったから全然記憶にないや。えっと・・・ Kちゃんが爆睡してて、Mちゃんがフラフラになってた午前6時頃にちょっとだけベトナム人と話してたんだ。

    それと、 muse の綴り間違いと、 quest の場所の間違いは明日あたりに直そうかと思っています。どうもありがとう。

    ・・・それにしても、ここのところ 2 ちゃんねるって、書き込んでいないにもかかわらず、なぜかマイブームになりつつない? これじゃ、「どっちが楽しんでるのか分からない」ってカンジだけど、僕は基本的に僻まれるの嫌いなタイプじゃないから、けっこう気に入っています。なんか悪趣味だけど、未来のない人たちの強制収容所を見て、彼らと比較することで自分の幸福さを日々確認してるってカンジ。ああ・・・我ながら趣味が悪い。あはは。第二次大戦時の強制収容所の看守って、どんな気持ちで仕事をしてたんだろう。

    muse って軍人と言うよりは、むしろスーツを着た駐在員風の男のほうが目立ったようなイメージなんだけど、実際はどうなのかなあ。

    それにしても K ちゃんは最強だった。最初聞いたときは「少し大げさ過ぎかも」とか思ってたけど、言葉通りって言うか、言葉以上に激しく外国人客を引きつけてた。アレにはビックリ。

    それじゃ、また日本に帰るときに連絡するね! よろしく!

  • > YOKO さん

    9年ぶりのユナイテッドファースト、けっこうレベルが落ちてるって感じだった。アメニティーなんて以前に比べるとクソみたいなものだったし。まあ、ファーストといっても「空飛ぶバス」の一等車のようなものだからこんなもんなのかも。

    三軒目の quest のロッカー横(男子便所前)に red bull のポスターが貼られていて、そこにタイ語が書かれてたよ。そういえば LA にもあったっけ? 一度も飲まなかったから全然記憶にないや。えっと・・・ Kちゃんが爆睡してて、Mちゃんがフラフラになってた午前6時頃にちょっとだけベトナム人と話してたんだ。

    それと、 muse の綴り間違いと、 quest の場所の間違いは明日あたりに直そうかと思っています。どうもありがとう。

    ・・・それにしても、ここのところ 2 ちゃんねるって、書き込んでいないにもかかわらず、なぜかマイブームになりつつない? これじゃ、「どっちが楽しんでるのか分からない」ってカンジだけど、僕は基本的に僻まれるの嫌いなタイプじゃないから、けっこう気に入っています。なんか悪趣味だけど、未来のない人たちの強制収容所を見て、彼らと比較することで自分の幸福さを日々確認してるってカンジ。ああ・・・我ながら趣味が悪い。あはは。第二次大戦時の強制収容所の看守って、どんな気持ちで仕事をしてたんだろう。

    muse って軍人と言うよりは、むしろスーツを着た駐在員風の男のほうが目立ったようなイメージなんだけど、実際はどうなのかなあ。

    それにしても K ちゃんは最強だった。最初聞いたときは「少し大げさ過ぎかも」とか思ってたけど、言葉通りって言うか、言葉以上に激しく外国人客を引きつけてた。アレにはビックリ。

    それじゃ、また日本に帰るときに連絡するね! よろしく!

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。