タイ人向け土産物屋 (タイ人との香港旅行2日目)

「バンコクで売っている宝石のほうが全然イケているのに、なんでこんなものにカネを出さなければいけないの? たぶん誰も買わないんじゃないかしら。安物のパッケージツアーに参加するための料金の一部というのは分かるけど、それでももう付き合いきれないわ」

香港市内にある宝飾品工場のアウトレット(を自称している土産物屋)で、店の外へ出ようと出口を探してみたところ、どこを見渡しても見つけることができなかった。この「軟禁システム」からの脱出を図るために、友人は、従業員専用と書かれているドアを含む、すべてのドアを片っ端から開けて回った。

あさ、タイ人団体客向けの無料の市内観光ツアーに参加して、微妙すぎるタイ語を話す香港人ガイドの案内で、維多利亜公園の中腹から香港市内の風景を眺めてから、淺水灣にある整備が行き届いているビーチリゾートを散策した。その後、ツアーバスに乗って市内へ引き返した。

いわゆるパッケージツアーに参加するのは約9年ぶりだったので、土産物軟禁というパッケージツアー恒例のお約束を完全に失念していた。タイ人のツアー参加者(日本人1名を含む)を乗せた観光バスは、16階建ての雑居ビルの前に停車した。バスから降りて、香港人のツアーガイドのあとに付いて歩いていくと、そのビルの1階から3階の部分に入居している外国人観光客向けの宝飾品アウトレットへ案内された。店内には、英語、中国語、タイ語の表示があった(日本語は見当たらなかった)。日本人向けの土産物屋と比較すると、若干、お手頃な価格帯だったような気もするが、市中の相場より割高という点ではどちらも似たようなものだった。

店内に入ってから一時間が経過して、忍耐力が限界に達したところで、そろそろ店を出ようと友人を促したが、店内のどこを探しても出口の表示が見つからなかった。やっとのことで見つけた出口と思しきドアの先には、売場のラグジュアリーな雰囲気からは想像もつかないような、古ぼけたエレベーターホールがあった。

この宝飾品店で受けた精神的な苦痛の影響で、滞在先のホテル「大華酒店」へ一旦戻ってから、午後6時まで昼寝をすることになった。その後、地下鉄銅鑼灣站の周辺にある百貨店街と、地下鉄旺角站の周辺にある香港ブランドのブティック街へ出かけた。

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ケイイチ
バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。