そしてタイの富豪たちを目の当たりにする

「こちらはタワーラワディータイ銀行頭取のナパラットさんの長男のグラモンさんで、現在、タワラワディー・エンタープライズの社長をしておられます。こちらはタワーラワディータイ銀行副頭取のプラスートさんで、その隣にいるのはタワーラワディータイ経済研究所の所長を務めていらっしゃるスパポーンさん。ああ、あちらに見える黄緑色のスカートを履いているかたは、元財務相の奥さんのヂュッタマートさんですね」

・・・・・・どうぞよろしくおねがいします。

ひとにはそれぞれ身の丈にあったサイズの服があるという。しかし、きょう僕が着た借り物の服は、平安時代にあった女性用の宮廷衣装「十二単」より重く、そして裾を何十メートルも引きずって歩からなければならないような、ひどく大げさな代物だった。友人は「何事も経験をしてみることが重要だ」と言っていたが、分不相応な場所に図々しくも居座り続けるのは楽ではない。

20050727-2

一息つこうと、すぐ近くのソファーに座って暇そうにしていた、気のよさそうな中年の女性に声をかけてみたところ、なんとその人まで大物だったから、いよいよ困り果てた。

午後、アユッタヤー方面にある日系の大手素材メーカーの工場へ行って環境に関連する先端技術について見学をしてから、トーングロー23街路の向かいにある高所得者向けのショッピングモール Playgraund で催された緑茶の新ブランドのお披露目パーティーに出席した。まさに「真のハイソのためのパーティー」といった雰囲気で、なんとも居心地が悪くて仕方なかった。このパーティーに出席するのであれば、せめて第二地銀の頭取ぐらいの肩書きは持っておきたい。

カメラマンが僕の写真を何枚も撮影していたが、どこかのハイソ向けの英語雑誌に、分不相応にも掲載されてしまうのではないかと、今から心配でならない。本当にチカラを持っている出席者たちは、どのような思いで、このパーティーに出席していたのだろうか。

タイの階級社会を、外国人中間層という立場から見上げている自分がここにいる。そして、このような社会に身を置いていると、ヘボいヤツらがまったく視界に入ってこなくなる。これこそがまさに階級社会の神髄なわけだが・・・・・・上ばかりを見ていると、首が疲れてかなわない。

ところで、一部の日本人男性たちは、娼婦のタイ人としか交際した経験がないため、本当に世間というものを正しく理解できていない。何を根拠に、タイ人は貧乏でバカでヘボい、と断言しているのだろうか? それでも、都市部の中間層が想像以上に手強いという事実を知らないまま生きていけるわけだから、それはそれで、きっとメチャメチャ幸せなことなのかもしれない。首だって疲れずに済むだろうし(本文中に登場する政府機関名や固有名詞は、すべて仮称または仮名です)。

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ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。