日本料理店の接客係は傍若無人な日本人客に失望している

「アナタヲソンケイシマス」

トーングロー通りにある高級日本料理店 MARU で、店先に出てタバコを吸っていたところ、接客マネージャーのタイ人がやってきて、片言の日本語を交えながら自分の日々の業務について説明したうえで、最後に日本式の最高礼をして店内へ戻っていった。この店はタイの政府高官や財界関係者のあいだでも評判が良く、店先にはいつも高級車が並んでいる。しかし、接客マネージャーによると、日本人のなかには無法な振る舞いをする客も多く、日頃から失望させられているという。

「ご存知とは思いますが、この店には、日本人のほかにも、社会的に地位のあるタイ人のお客様がたくさんいらっしゃいます。タイ人は上流の方であればあるほど控えめで、料理を注文されるときにも上品な言葉を使ってくださいます。しかし日本人は、ほぼ全員が異常なほど偉そうに振る舞っており、料理を注文するときも、わたしたちに対してまるで奴隷に命令するかのような態度をとってきます。わたしたちもプロですから、すべてのお客様に心のこもった最高のサービスを提供しようと心がけていますが、正直なところ、傍若無人な振る舞いをしているお客様に対して良いサービスを提供することには強い抵抗感があります。わたしはこの仕事に長いこと携わっておりますが、これまであなたのように紳士的な振る舞いをする日本人に出会ったことは一度としてありません。きょうは、わたしにとって記念すべき日となりました。本当に、ココロから感動しているんです」

バンコクに住んでいる日本人であれば、誰でも一度は日本人向けサービス業の接客の質の低さに何らかの疑問を抱いたことがあるだろう。ハッキリ言って、日本人向けのサービスとタイ人向けのサービスのあいだには、接客の質という点で天と地ほどの違いがある。そのあたりの事情について、これまで日本人客の振る舞いに何らかの原因があるのではないかと勝手に推測していたが、今回の接客マネージャーの話を聞いてその問題の核心部分に触れることができた。まあ、そのような事情もあってか、個人的は日頃から行きつけの店でいろいろと得をしている。

午後、高架電車モーチット駅の近くにある Sun Tower に入っている Sony Ericsson のサポートセンターへ行って、携帯電話のファームウェアを更新してもらった(メールに画像を添付して送ったときに発生していた通信障害などの問題が改善された)。その後、トーングロー通りにある高級日本料理店 MARU へ行って友人の会社社長から夕食をご馳走になり(3人でおよそ17,000バーツ)、そのすぐ近くにある高級クラブ Exotica Exclusive Club で生演奏を聞きながらウイスキーを飲んだ。ホステスによると、会員になるためには30,000バーツのプロモーション料金を前払いする必要があるという。この料金には、つぎのサービスが付いてくる(選択制)

Exotica Exclusive Club の会員になることで受けられるサービス(選択制)

  1. Johnnie Walker Black Label 12本 + 個室利用権4回
  2. Johnnie Walker Black Label 6本 + ホステスドリンク48杯(1杯250バーツ相当) + 個室利用権4回
  3. Johnnie Walker Black Label 3本 + ホステスドリンク80杯(1杯250バーツ相当) + 個室利用権4回

*個室利用権は、1回分を Johnnie Walker Black Label 1本と等価交換することができる

今晩は、普段バンコクの中間層と行動を共にしている自分にとって、タイの上流階級の何たるかを知る良い機会となった。高級クラブ Exotica Exclusive Club では、目の前に10人ものホステスたちが群って、1杯250バーツもする「ホステスドリンク」を驚異的な速度で消費していった。こんな遊び方をしていては、たとえホステスドリンクが何百杯も付いてくるプロモーションを選んだとしても、カネが飛ぶように消えていくのは間違いない。

もちろん、これよりもっとすごいカネの使い方をしているタイ人なんてそれこそいくらでもいるんだろうが、さすがに個人のレベルでこんなカネの使い方をするのは無謀すぎる。ってゆうか、僕にはその勇気がない。

ABOUT US

ケイイチ
バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。