タイにおける不平等な被選挙権

「学位を持っていない人は議会に立候補できないよ」

タイの憲法は、中流以下のタイ人にとって不平等だ、という説がある。107条と123条で、大卒未満の国民に被選挙権(立候補する権利)を認めていないのが、その根拠とされている。日本国憲法には、第44条で「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない」という条文があるため、日本人のなかには「法の下の平等に反している」と言って激しい拒絶反応を示す人も少なくないだろう。

タイにおける現在の大学進学率は約35パーセントといわれている。そこで、残りの約65パーセントは、どうして反対の抗議行動を起こさないのかと、友人に聞いてみた。

「だって、せめて学位ぐらいは持っていてもらわないと、国政を安心して委ねることなんかできないじゃないの」

日本人だったら絶対に言わないようなセリフを、友人はあたかも当然のことのように言ってのけた。該当する条文はつぎのとおり。

รัฐธรรมนูญแห่งราชอาณาจักรไทย พุทธศักราช ๒๕๔๐
2540年改正タイ王国憲法

มาตรา 107 บุคคลผู้มีคุณสมบัติดังต่อไปนี้ เป็นผู้มีสิทธิสมัครรับเลือกตั้งเป็นสมาชิกผู้แทนราษฎร
第一〇七条 次の条件を満たす者は下院の被選挙権を有する。
(3) สำเร็จการศึกษาไม่ต่ำกว่าปริญญาตรีหรือเทียบเท่า เว้นแต่เคยเป็นสมาชิกสภาผู้แทนราษฎรหรือสภาวุฒิสภา
③ 学士以上もしくはそれに相当する学位を有する者。ただし過去に下院または上院の議員を務めた者は除く。

มาตรา 125 บุคคลผู้มีคุณสมบัติดังต่อไปนี้ เป็นผู้มีสิทธิสมัครรับเลือกตั้งเป็นสมาชิกวุฒิสภา
第一二五条 次の条件を満たす者は上院の被選挙権を有する。
(3) สำเร็จการศึกษาไม่ต่ำกว่าปริญญาตรีหรือเทียบเท่า
③ 学士以上もしくはそれに相当する学位を有する者。

つまり、タイでは「支配階級」と「被支配階級」との関係が憲法に明文化されている、ということになる。そして当のタイ人自身も、学歴差別がさも当然のことであるかのように考え、受け入れている。過去、尋常小学校卒(12歳までの教育)の首相が登場して、「学歴は仕事と関係ない」という妄言がまかり通っている日本とは大違いだ。タイという極端な階級社会における「階級」は、憲法のこの条文のみならず、さまざまな場面でいろいろな根拠と裏付けが与えられている。

タイでは、日本にいれば煩わされないで済むような、些細な価値観の違いにも気を遣わなければならない。それにしても、どこのバカが「日本人であればタイは誰でも上流階級になれるサバーイサバーイで快適な国」なんて寝惚けたことを言い出したのだろうか? そりゃあ、タイの階級社会の最下層にいるような娼婦ばかりを相手にしているだけなら気にする必要もないだろうが、多くの場合、タイにいると日本ではあり得ないような数多くの理不尽に直面する。

きょうは、スィーロム通りとスラウォング通りにある Starbucks Coffee へ友人と出かけた。

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  • さとかず

    西暦1996年くらい、バンハーン首相当時のこと。学位の大量生産が行われたような記憶があります。また、当時、バンハーンが出生記録をTVにかざしたような(多分、タイで生まれてないと首相になれない?国会議員になれない?)、大騒ぎがありました。当時、たまたまマスコミ関係のオフィスに出入りしていた為、タイ人の記者からある程度の詳細を聞いたのですが、記憶が定かでありませんが。

  • さとかず

    西暦1996年くらい、バンハーン首相当時のこと。学位の大量生産が行われたような記憶があります。また、当時、バンハーンが出生記録をTVにかざしたような(多分、タイで生まれてないと首相になれない?国会議員になれない?)、大騒ぎがありました。当時、たまたまマスコミ関係のオフィスに出入りしていた為、タイ人の記者からある程度の詳細を聞いたのですが、記憶が定かでありませんが。

  • 日記の本文中には107条と125条の③を挙げましたが、①に「タイ国内で生まれたタイ人であること」という条項があるので、もし本当に外国生まれであれば政治スキャンダルになりますよね(笑)

    まあバンハーン・シンラパアーチャー元首相は、日本でいうスキャンダルの総合商社みたいな存在みたいだったようですし。

  • 日記の本文中には107条と125条の③を挙げましたが、①に「タイ国内で生まれたタイ人であること」という条項があるので、もし本当に外国生まれであれば政治スキャンダルになりますよね(笑)

    まあバンハーン・シンラパアーチャー元首相は、日本でいうスキャンダルの総合商社みたいな存在みたいだったようですし。

  • さとかず

    ありがとうございます。
    そういえば、当時、バンハーンはタイの田中角栄と日本のマスコミでは呼ばれておりました。

  • さとかず

    ありがとうございます。
    そういえば、当時、バンハーンはタイの田中角栄と日本のマスコミでは呼ばれておりました。

ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。