Exotica Exclusive Club

「もし民間企業で働くのでしたら、最低でも月給として40,000バーツはいただきたいと思います。それ以下ですと食べるのが精一杯で、ほかに何もできなくなってしまいますわ」

夜、トーングロー4街路にあるイタリア料理店Beccofinaへ行って、アソーク通りで建設会社を営んでいる日本人社長と日本語が堪能な女性秘書とともに、高級クラブExotica Exclusive Clubのホステスを交えて夕食をとった。

この日本人社長は気に入ったホステスがいるとすぐに手元に置きたがる。女性従業員のほぼ全員が元ホステスで、配偶者もトーングロー通りにある日本人向け性的サービス付きクラブのホステスというから驚きだ。最近はExotica Exclusive Clubのホステスに入れ揚げているようで、さっそく自分の会社に引き抜こうとしている。

このホステスは現在、勤務先の高級クラブから支払われている15,000バーツの月給のほかに、客からのチップや性的なサービスへの対価として受け取っていると推定される45,000バーツ程度の追加的な収入を得ており、自分でクルマを運転して通勤しているという。

食後、トーングロー通り沿いにある高級クラブExotica Exclusive Clubへ向かった。

ホステスによると、Exotica Exclusive Clubの会員になるためには、最初にJohnnie Walkerの Black Labelを30,000バーツで10本購入する必要があるという。この料金とは別に、ホステスの求めに応じてアルコールを注文するレディースドリンクという料金が1杯あたり250バーツかかる。エーガマイ通りにもPianoという似たようなスナックがあるが、こちらの方は30,000バーツで13本ついてくる。

バンコクの日本人社会ではタイ人向けのサービスより日本人向けのサービスの方が優れていると信じられているけれど、実態はむしろ逆で、タイで最高のサービスはタイの財界人が通っているような店にある。この店もナコーンルワングタイ銀行頭取の息子が足繁く通っている。

店内はアメリカ東海岸にある上流階級向けのパブを彷彿とさせる雰囲気で、ステージではタイ語曲中心のライブが行われている。すぐ後ろにあるブースにはたくさんのホステスが待機していたけれど、容姿に問題があるホステスは一人としていなかった(これは本当にスゴいことで、日本人向けの店にいるのはいずれもホステス市場における敗残者ばかりだから「なんとか許容できる容姿のホステス」を探すのにも苦労する)。

自分は日本人社長の付き合いでここにいるにすぎないので、わざわざホステスを自分で選ぶようなことはしなかった。結局、この春からラームカムヘーング大学に入学するという小柄なホステスをあてがわれたが、ホステス研究の結論はすでに出ているし、このホステス個人にも特に興味を持てなかったため、「どこへ行けばハリウッド映画のタイ語吹き替え版が見られるか」という、夜の街の色っぽさとは無縁な会話をダラダラと続けながら、オシャレな店の雰囲気と生ライブを夜更けまで楽しんだ。

ABOUT US

ケイイチ
バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。