友人の学位授与式

「学位授与式は午前8時半からの予定だったんだけど、当日になっていきなり午後12時半開始に変更されたおかげで、何時間も炎天下で待たされる羽目になったわ」

そのせいで友人はすっかり疲れきっていた。少しでも油断したらすぐにでも寝てしまいそうだ。

タイにおける国立大学の学位記は、卒業後1年以内に高位の王族によって手渡しで下賜されることになっている。以前は国王陛下が直々に下賜されていたそうだが、現在では高齢を理由に直系の王子や王女が代行しているという。私立大学の学位は、卒業後1年以内に理事長によって授与される。

きょうは今年国立大学に昇格したばかりのラーチャパット・スワンスナンター大学で学位授与式があった。ワチラロンゴーン皇太子がおでましになり、昨年の5月および10月に卒業した卒業生に対して学位を下賜された。

「オーラサーティラート(ワチラロンゴーン皇太子)が学位を下賜するときって、演壇の台座の上に腕の先だけを乗せて、手をわずかに動かして職員から卒業証書を受け取って卒業生に手渡すだけなのよね。でも、プラテープ(スィリントーン王女)は演壇の台座の上に肘だけを乗せて、肘から先を大きく動かして手渡すのよ」

ワチラロンゴーン皇太子が卒業証書を下賜するのに費やす時間はひとりあたり1.81秒。卒業生たちはその早業にあわせて遅滞なく学位記を受け取るために、学位授与式直前になると毎日のように予行練習をするという。

この友人によると、卒業生は学位授与式のために千数百バーツの現金を高位王族に納めなければならないという。タイで高位の王族から学位を賜るという栄誉を辞退するためには、大学当局に理由書を書いて提出したうえで厳しい審査を経て承認を受ける必要があるという。

ちなみに、ヂュラーロンゴーン大学の学位授与式にお出ましになるのはプーミポン国王の次女であるスィリントーン王女と聞いている。

学位授与式のあり方や学位授与式の開始が遅れた理由について、この日記で論じるのは法的な理由により避けておきたい。

昼前、高架電車アソーク駅の前にあるホテル Westin Grande Sukhumvit で催された某日系工場の完成記念式典に出席してから、ロビー階でコーヒーを飲みながら夕方までペーパーを書き続けた。夜、ペッブリータットマイ通り(ニューペッブリー通り)にあるアマリアトリウムホテルのカクテルバー Mingles へ行って友人と酒を飲んだ。