タイにおける大卒者の就職活動

「さっき私が面接に行ってきた会社、オーナーがインド人なんだって。小さな会社だったし雰囲気も悪かったからもういいや」

タイには日本のような「労働は美徳なり」という価値観がないため、卒業後に十分な休養をとってから就職活動を始める卒業生も少なくない(タイではむしろ労働をしないことのほうが美徳とされている)。それに、学部のカリキュラムが日本よりハードなため、大学の4年次に就職活動をするための時間を確保するのはあまり現実的ではないという事情もある。

タイにおける大学進学率が2003年に7割を超えたことを受けて、バンコクの中間層のあいだでは大学院の修士課程へ進学することがブームになりつつある。出願者に1年間ないし2年間の社会人経験を課している修士課程も多いため、就職後短期間のうちに退職して、大学院へ進学するケースも目立つ。

この友人は、私立大学の理系学部を卒業して現在就職活動をしているが、大学院へ進学する意志はない。このような学歴をそれほど重視していないタイ人は、キャリアの形成に役立つ企業と職種を選択して、転職型の労働市場で成功するための努力を続けていくことになる。

キャリアを形成するにあたっては、専門性を伸ばすことができる職種、あるいはネームバリューがある大企業を選ぶとよい。タイ人の大卒者は、たとえ大企業に入ってもだいたい5年程度で退職して、2倍の給料を出してくれる企業へ転職していく。タイに年功序列的な給与体系がない以上、給与所得者は労働市場における自らの価値を高めて、よりよい待遇を勝ち取っていかなければならない。

きょうの昼頃に友人が面接を受けた企業は、キャリアを形成して行くにあたって、それほど有益ではなかった。また、インド系タイ人は普通とは違う独自の文化を持っているため、マイノリティーとして扱われ忌避される傾向がある(実は単に黒くて臭いから嫌われているだけかもしれない)。

かくして、友人の就職活動は振り出しへ戻った。友人はいま、スキルが高められる技術系の職に就くべきか、それとも給料が良い販売系の職の就くべきか悩んでいる。

きょうは、マーブンクローングセンターへ友人と出かけてから、この日記に導入予定の「ブログ」の検証作業をした。