地下鉄事故

「今度は地下鉄事故だって。ここのところタイはトラブル続きね」

夕方、帰宅ラッシュの渋滞を避けるために大幅に迂回して、バンコクの北部からバンコク環状線(ラッチャダーピセーク通り→ウォングサワーング通り→プラヂャーオタークスィン通り→スックサワット通り)を経由して、プララームサーム通り(ラーマ3世通り)へ向かっていた。そこで、友人が道を尋ねようと先輩に電話をかけたところ、とんでもないニュースが飛び込んできた。

カーステから流れていたタイポップスの MP3 を止めて、交通情報や市民からの通報を流している FM ラジオ局「ヂョーソーローイ」に切り替えた。

報道によると、ラッチャダーピセーク通りにある地下鉄タイ文化センター駅で午前9時20分頃、駅ちかくの車輌基地から本線に出てきた回送列車が、駅に停車中だったバーングスー発フワランポーング行きの3両編成の列車に衝突した。本線から車輌基地へ伸びる引き込み線は、緩やかな登り勾配になっていて、一部に不通電区間があるため、規則では十分な加速をつけてから車輌基地へ進入するように定められていたが、この回送列車は動力の故障により減速して走行していたため、勾配を登りきる前に逆走行を始めてしまい駅のホームへ進入したという。停車中の列車にいた乗客およそ700名のうち約250名が重軽傷を負って付近にある病院へ搬送された。この衝突で接触部分が70センチほど陥没し、運転台をはじめ各車両の内装の一部が脱落した。

スリヤ運輸相はバンコク電鉄の会議室で行われた記者会見で午後2時半、今回の地下鉄事故について、「運行司令センターの担当職員が誤って手動ブレーキの使用を許可してしまったことが原因」との見方を示した。チャルームラッチャモンコン線の車両は、手動ブレーキを作動させると自動運転システムが解除される仕様になっており、自動ブレーキが衝突時に正常に機能しなかったという。タックスィン首相は視察先のプーゲット県で記者会見し、地下鉄の即時運休を発表。午後3時半には事故現場に到着し、安全を確保するために無期限の運休を決定した。運行システム上の欠陥であればすぐに改善し、人為的なミスであれば関係する職員に対して再教育を実施するという。

今回の事故に関わった運行管制センターの職員をはじめ、各車両の運転手たちは業務上過失傷害の疑いで刑事訴追される可能性がある。今回の事故にともなう損害保険金は保険会社「ニパヤ損害保険」によって全額支払われる。

ビーチリゾート「パッタヤー」からの帰路、エアコンが故障して汗だくになってしまった。バンコク北部のグルングテープ・ノンタブリー通りにある自動車整備工場を友人に紹介してもらい、ブレーカー(50バーツ)を交換した。向かいにあるガソリンスタンドで普通洗車が50バーツだった(都心部なら120バーツ~220バーツはかかる)ため、一番高い「クルマをジャッキで持ち上げてエンジンルームと車台の裏側も洗車」するコースを依頼した。150バーツだった。

今回の地下鉄事故にともなう運休は、地下鉄バーングスー駅のちかくに住んでいる友人の家計を直撃することになる。友人によると、サヤームへ行くために、わざわざタクシーでモーチット駅まで出てから、高架電車に乗り換えなければならないという。

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ケイイチ
バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。