タイで盗難の被害に遭ったときの対処方法

午前2時36分、プラトゥーナーム交差点の近くにあるインターネット屋にいる友人から呼び出しを受けた。友人によると、店のトイレに置き忘れたカバンが誰かに盗まれてしまったという。そこで、スクンウィット13街路にある住まい Sukhumvit Suite の前からタクシーに乗って現場へ向かった。

そのインターネット屋では、部屋着姿の15歳から20歳までの子どもたち17人が、インターネット対戦のパソコンゲームやテレビゲームに興じていた。料金はインターネットが1時間につき20バーツ、テレビゲームが3時間につき50バーツだった。

友人が盗難の被害に遭ったのは、ブランド物のハンドバッグと、その中に入っていた携帯電話(時価15,000バーツ相当)、クルマの鍵、財布、現金約4,500バーツ、国民IDカード、運転免許証、社員証、クレジットカード3枚、キャッシュカード1枚だった。窃盗犯は、その中から足がつきにくい携帯電話と現金だけを抜き取って、それ以外の物は捨ててしまうことが多いという。

まず最初にしたのは、インターネット屋の店内に設置されている監視カメラの映像を検証して、盗難が発生した時刻と犯人を特定することだった。監視カメラには、19歳ぐらいの色黒の少年が友人のカバンを持ってトイレから出ていく様子が鮮明に記録されていた。しかし、それがこの店に毎日のように来ている常連客だったため、インターネット屋の店員は犯人逮捕にとことん非協力的だった。

以前、別の場所でインターネット屋を営んでいる友人から興味深い話を聞いたことがある。

「子どもたちの両親は、基本的にインターネット屋を信用していて、インターネット屋へ行くと言えば、昼夜を問わず外出が許可されるという家庭も少くない。ところが先日、子どもたちがインターネット屋の前でタバコを吸っているところを近所の人に目撃されて、その保護者たちから『インターネット屋は非行の温床』呼ばわりされることになった。そこで、店に来たらタバコを吸うな、という規則を作ったところ、今度は子どもたちの足がすっかり遠のいてしまった。住宅街にあるインターネット屋の商圏はとても狭いから、近所の子供たちに嫌われてしまったら商売にならない。仕方なく規則を緩和して、店の裏手にあるトイレであればタバコを吸っても構わないということにしたところ、ようやく客足が戻った。ただ、朝までインターネット屋に籠もってゲームばかりしているようなヤツらがまともであるはずがないことぐらい、少し考えてみれば分かるだろう? だから、自分の荷物にはくれぐれも気をつけてくれよ」

そのような事情から、この店の店員も犯人逮捕には手を貸せないのだろう。

つぎに、インターネット屋にある電話を借りて、携帯電話会社に利用停止の手続を依頼し、カード会社と警察署にクレジットカードの盗難を届け出た。クレジットカードには、カード会社に紛失や盗難を届け出た日から60日以内に発生した損害について保障してくれる制度がある。

その後、通報を受けた警察官がバイクで現場に駆けつけた。友人は、その警察官に200バーツ、クルマを駐めていた駐車場の警備員に100バーツを手渡して、盗んだ鍵を使って自分のクルマを移動しようとする人がいたら阻止するように依頼した。

そこからクルマを移動するために、一旦スティサーンウィニッチャイ通りにある、友人の実家がある3メートルもの高い壁に囲まれている豪邸までクルマの鍵を取りに行った。ふたたびインターネット屋に戻って店舗の名称と住所を控えてから、友人のクルマに乗ってバンコク警視庁のパヤータイ警察署へ行って盗難の被害届を提出した。タイでは、国民IDカード、運転免許証、SIMカードなどの再発行を受けるときに、警察へ届け出た被害届の写しが必要になる。

友人は最後に、ほかの警察署に勤務している警察中尉の友人に電話をして、そのままにしていたら警察官の怠慢で行われない防犯カメラの再検証と犯人の逮捕について依頼していた。

これらの作業におよそ3時間を要し、自室に戻って来たときには午前5時半を回っていた。

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ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。