ナンパを約束されたディスコ (ただし有料)

安宿街カーオサーン通りにあるクラブで先日、日本から遊びに来ているクラスメイトの友人が逆ナンされた。日本へ帰国する前に、その女性にもう一度会っておきたいというので、今晩は日本人の男女5人組でその女性がいるというディスコへ繰り出した。

Royal City Avenue には約2年ぶりに来た。いまでは2年前にあれだけ盛り上がっていたのがまるで嘘のように静まりかえっている。すでにディスコが盛り上がり始めるはずの午後10時半をとっくに回っているというのに、この道を歩いているのは僕たち5人のほかに誰もいない。この通り一帯を明るく照らしていたディスコのネオンも消え、まるでゴーストタウンのようになっていた。

この界隈にあったディスコのほとんどはすでに廃業しており、いまなお営業を続けている店も開店休業状態となっている。最盛期には店に入りきれなかった人々で路上が溢れかえっていた Route 66 でさえ、客がポツンポツンと入っている程度だった。

タックスィン首相は昨年2月、タイの退廃しきった社会を更正するために、麻薬撲滅戦争を宣言した。当時、未成年者の非行化や麻薬汚染の元凶として「社会悪」の代名詞となっていた Royal City Avenue はその格好の標的となり、警察による度重なる立入検査を受けたことで、未成年者や麻薬常用者などのコアとなる常連客を失った。さらに、バンコク都民の所得が飛躍的に向上したこともあって、従来のような庶民的な振る舞いが否定され、若者たちがハイソっぽく振る舞うようになり、老朽化が進んでいた安ディスコ街 Royal City Avenue はバンコクの流行からいよいよ完全に取り残されるカタチとなった。

20040907-2日本から遊びに来ているクラスメイトの友人によると、カーオサーン通りにあるクラブで逆ナンしてきた女性が通っているのは、Royal City Avenue のプララームガーオ通り(ラーマ9世通り)側にある the Forte というディスコ。遠くから見たカンジでは、なかなかオシャレな雰囲気で客層も期待できそうだった。

ところが、普通なら年齢確認のための警備員がいるはずの入口で、なぜか正装をした女性従業員たちが呼び込みをしていた。女性従業員によると、僕たち5人が店に入るためには、はじめにウイスキーのChivas Regal(1,500バーツ)を買って、入場料(1,000バーツ)を支払う必要ある。初期費用だけでひとりあたり500バーツもかかる計算だ。さらに、ミキサーを1本注文するたびに60バーツずつ加算されていくという。都心部にあるハイソなパブと比べてもかなり割高だ。

店内は身なりの良いカップルたちでごった返しており、ステージの上ではダンサーたちの踊りに合わせてバンドが生演奏をしていた。しかし、よくよく冷静になって周囲の様子を観察してみると、男性客の年齢層が異常に高く、ここでは頭頂部がハゲ上がっていない人の方がむしろ少なかった。しかも、そんな男たちにもなぜか必ず若い女性がついている。

「女の子をお呼びしましょうか?」

この店は、普通のパブではなく、よくある店側が用意しているホステスといちゃつくための店だった。僕たちはホステスと同席する気分ではなかったため辞退しておいたが、日本から遊びに来ているクラスメイトの友人は、逆ナンしてきた本人がいなかったため、代わりのその友人を呼んで一緒に酒を飲むことになった。ホステスの同席料として1,500バーツかかった。

タイに特別な感情を抱いている一部の日本人男性たちのあいだでは、タニヤなどの日本人向け歓楽街にあるカラオケスナックが人気のようだが、若者気分に浸りたいタイ人中年男性のあいだではこういった店が人気のようだ。なかなかに奇抜で興味深いサービスだが、さしあたって若者向けのパブで通用している僕たちにはまだまだ必要ない。

きょうはサヤームスクウェアにある Starbucks Coffee で文献を読んでから、友人たちと中華街ヤオワラートで夕食をとり、謎の同伴ディスコへ向かった。あまりのバカバカしさに30分ほどで店を出て、余った酒を高架電車サナームパオ駅ちかくのタイ研究科の日本人留学生が住んでいるコンドミニアムへ行って朝まで飲み続けた。

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ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。