いまだかつてないスーパーバカなプロジェクト

午前中の「 ASEAN 地域の国際関係論」と午後の「東南アジア文明論」に出席して、帰宅途中に日本から旅行に来ている友人のクラスメイトたちと合流。すぐに例のプロジェクトの準備に取りかかった。

大学からクルマで20分ほどのところにある住まい Sukhumvit Suite 17階の199号室で、僕たち日本人4人組は、それぞれが持ち寄った手提げ袋のなかから白と黒の衣類を取り出して、ヒンヤリとしたタイルの床の上につぎつぎと広げていった。

タイの大学では、学部生に制服の着用が義務づけられている。男子の制服は白いワイシャツに黒のスラックス、女子の制服は白のブラウスに黒のスカートと決められており、一部に例外はあるが、どこの大学も基本的には同じデザインを採用している(留学生日記2003年10月25日参照)。

タイにおける大学生の制服

2003.10.25

昨晩、僕たちは若者文化の発信基地サヤームにある、学生服を売る店が多く集まっているショッピングモール「ボーナンサー」へ行って、このプロジェクトのために大学の制服を調達した。友人のひとりがホテルに戻ってから実際に制服を試着してみたところ、少し歩いただけですぐにスカートのスリットの部分が思いっきり裂けてしまったという。それもそのはず。理想的な着こなしを実現するために、制服屋のおばちゃんのアドバイスをガン無視して、細身のタイ人でもなかなか着こなすことができない SSSS サイズのキツキツブラウスとピチピチスカートを選んで、それをタイ人よりも体格が良い日本人に着せているのだから当然だ。

それぞれリビングとベッドルームとトイレに分かれて制服に着替え、最後に男子用の制服にはヂュラーロンゴーン大の徽章入りのベルトとバックルを、女子用の制服の胸元にはマヒドン大の徽章(留学生日記シリーズ「タイ大学めぐり」参照)を装着して、いよいよ完璧な「現役学部生」ができあがった(実は全員タイや日本の大学に通っている大学院生だ)。

マヒドン大学

2004.07.08

今回、女子用の制服にマヒドン大の徽章を選んだのには理由がある。ほとんどの大学では大学指定の徽章入りボタンをブラウスに付けなければならない決まりになっているが、マヒドン大学にはそれがないため胸元に付ける徽章さえあれば制服一式が揃う。唯一の心残りはマヒドン大の女子用ベルトを調達できなかったことだが、繁華街へ行けばブラウスをベルトから出して徘徊している学生たちであふれかえっているから、この際ないならないで構わない。

おそらくバンコクに住んでいる日本人が過去にひとりもやったことがないであろう、恥ずかしすぎて誰にも言えないスーパーおバカなプロジェクトは、日没とともに実行に移された。僕たちは BMW 318i でホーガーンカータイ大学の前にあるパブ街に乗り付けて、いつもの店へ平然と入っていった。夜が更けるとともに店内は次第にヒートアップしていき、案の定「マヒドン大学インターナショナルカレッジに通っている日本人女子大生」という設定は大ウケした。僕たちが陣取っているテーブルの周りには、都内のありとあらゆる大学からやって来ている学部生の男女たちが殺到し、ついに店内でもっとも盛り上がっている一角を作り上げことに成功した。さらに普段はタイ語か英語の曲しか流れていない店に、なんと日本語のアニメソング CHA-LA HEAD-CHA-LA (ドラゴンボール主題歌)が流されるに至って、かつてないほど激しく盛り上がった。

ところで、今月末にいくつかの講座で中間試験が行われる。そろそろ本腰を入れて準備しないと前学期の二の舞になりかねない。今晩はちょっと悪ノリしすぎたかな。

タイでは制服を着用する資格のない人(いわゆる「なんちゃって大学生」)が、大学の徽章をつけた制服を着て街中を歩き回るのは法律で禁止されています。警察に逮捕・拘束される可能性があります。よい子は絶対に真似しちゃダメだよ!!

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ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。