ビザ延長か不法滞在かの選択

4日後の5月30日に滞在資格の期限が切れる。それまでにタイから出国して、ふたたびタイへ再入国するときにビザ免除プログラムを利用して30日間の滞在許可をもらうか、もしくはタイ国外のタイ大使館領事部へ行って教育ビザの再発給を受けるかのどちらかを選択する必要がある。

現在、僕はビザ免除プログラムを利用して観光客という資格でタイに滞在している。カンボジアから戻ってきた今月1日にカンボジア国境のアランヤプラテート入国管理局でもらった30日間の滞在資格しかない。ビザ免除プログラムは日本を含む世界41カ国からのビザを持たない観光客に対して適用される。サートーン3街路(スワンプルー通り)やカーオサーン通りなどにある入国管理局事務所へ行けば2回まで延長できるが、1回の申請で7日間しか延長できないし、料金も1,400バーツかかる。

ビザ免除プログラムを利用した30日間の滞在資格しか持っていないか、もしくは有効期限が短い観光ビザしか持っていないバンコク在住の日本人(長期旅行者や不法就労している現地採用者)たちのあいだでは、安くて近いアランヤプラテート国境からカンボジアへ出国し、そこからタイに戻ってくるときにビザ免除プログラムを利用して新たに30日間の滞在資格をもらうという方法が一般的で、日本人向けの無料情報誌には怪しげな日系旅行代理店のツアー広告が掲載されている。ツアー料金は2,200バーツで、ビザ申請費用のほか、交通費や入官への賄賂などすべてが含まれている。

ビザは在外公館(タイ国外にあるタイ大使館)が発給するものだから、一度、任意の第三国へ出国する必要がある。聞くところによると、観光ビザまたは商用ビザを受給できる要件を満たしていない日本人たちのあいだでは、発給の要件が比較的緩いペナン(マレーシア)やシンガポールにあるタイ大使館へ行って観光ビザを手に入れるのが人気とか。僕は確実に発給される教育ビザを申請すればいいだけなので、北の隣国ラオスにあるウィアングヂャンのタイ大使館を好んで使っている。陸続きのため交通費が安く、しかもタイ語が通じるため何不自由なく行動できるのが魅力だ。

しかし、あすから月末の31日まで、高校時代の友人がはるばる日本からバンコクにやってくる予定になっている。僕のアライバルビザの有効期限は今月30日に切れてしまうから、仕方なくブワとサートーン3街路(スワンプルー通り)にある入国管理局へ出かけた。

ビザのための出費はできるだけ抑えたいので、滞在資格の延長費用1,900バーツを支払わずに、意図的にオーバーステイ(滞在期間超過)して反則金を400バーツ(1日あたり200バーツ)払って済ませたい。行政処分として過料を支払うわけだからパスポートに記録が残ってしまうけれど、1,500バーツを無駄に浪費するのもバカらしい。

オーバーステイをしたときにパスポートに押されるスタンプ

อยู่เกิน ปี เดือน 2 วัน
จาน 1 กก. 2 ดม. 1 ปรับ 400 บาท
คดีที่ 54/76 ลงวันที่ 1.. 47 

それでも1,500バーツばかりをケチったことで後々面倒になるのもイヤだから、念のためにビザ延長窓口の係官に尋ねてみた。

「何か事件を起こしたりして警察に捕まったりしない限り、特に不利になることはないんじゃないかしら? それに、たかだか2日間のオーバーステイなら、過料を払った方がお金の節約にもなるしオススメよ」

遵法意識を微塵も感じさせない係官の親切な助言に従って、僕はビザ免除プログラムの滞在期間延長の手続きをやめて、後日ラオス国境のノーンカーイ入国管理局事務所へ行ってオーバーステイの過料400バーツを払うことにした。

その後、ヂュラーロンゴーン大学文学部の4号館2階にある「タイ・東南アジア研究所」へ行って、教育ビザ申請に必要な「学長による招聘状」の発行を依頼した。

ABOUT US

ケイイチ
バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。