政府開発援助とその意義

「大東亜戦争に対する償いって、いまでもこんな大規模にやってんだぁ~。アジアの優等生である日本国クンも、けっこう大変な思いをしてるのね~」

今回の遺跡めぐりでは、東南アジア研究科の教員・学生・添乗員ら総勢25人が、英語バスとタイ語バスの2台に分かれて行動している。日頃から英語に悩まされ続けている僕にとっては、まさに渡りに船の情報だった。タイ語バスの存在を知らされてから、すぐに英語バスから乗り換えた。タイ語バスでは、特にタイ語を使うことが強制されているわけではないけれど、カンボジア人ガイドがタイ語で説明してくれるし、それぞれの学生に割り当てられているプレゼンテーションもタイ語で済ますことができる。

カンボジア語の固有名詞について、このシリーズではタイ語の表記を元に日本語に起こしています。これは筆者がタイ語環境のなかで遺跡を回ったからです。カンボジア人クラスメイトによると、英語的な発音よりもタイ語的な発音のほうがカンボジア語発音に近いそうですが、いずれにせよ日本で一般的に用いられている英語発音から起こした日本語表記とは異なります。

ナコーンワット(アンコールワット)では現在、大規模な修復工事が行われている。その前を通りかかったときに、カンボジア人ガイドが「これは第二次世界大戦時に日本国が東南アジア諸国の人々を苦しめたことに対する補償の一環として行われているものです。日本政府はカンボジアに年間10億ドル規模の無償資金援助を行っています」と説明した。冒頭の言葉は、それを聴いたときのタイ人学生の驚きの声。

これまで僕は政府開発援助を、近隣諸国の対日感情にプラスの効果をもたらし、日本が旧宗主国のような影響力を行使できるようにするための手法のひとつと信じてきた。ところが、もしこれが「東南アジア諸国に対する償いの行為」と受け止められているならば、何のために貴重な税金を使ってまで援助しているのか説明がつかなくなる。効果が不確かな政府開発援助なんていますぐにでも中止して、ただちに国内の景気刺激策にまわすべきだ。

今日の遺跡はつぎの2ヶ所。ガバーン・スピアンとプラサート・ブングミーリア。

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ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。