メーラ村「臨時居住区」

ミャンマーからのカレン族難民が収容されている「カレン族臨時居住区」は、タイのターク県ターソーングヤーング郡メーラ村第9集落にある。タイ政府はカレン族越境者を ผู้ลี้ภัย(プーリーパイ, 難民)と認めない立場をとっているため、 ค่ายพักผู้ลี้ภัย(カーイパックプーリーパイ, 難民キャンプ)ではなく พื้นที่พักพิงชั่วคราว(プーンティーパックピングチュワクラーオ, 臨時居住区)と呼ばれており、管理はタイ内務省、運営は各国のNGO団体(BBC, ADRA, SMRU, COERR, TOPS, SVA, HI, ICS, MSF, CONSORTIUM, PPAT, ZOA, IRCの合計14団体)が担っている。

まず、カレン族難民自治組織の幹部に話をうかがった。ここにはミャンマー連邦のカレン族やムスリム系の民族など合計5,425世帯、32,904人(うち成人男子10,839, 成人女子10,569, 未成年男子5,942, 未成年女子5,556)が住んでおり、民族別の構成比はカレン族85%:ムスリム系15%で、信仰している宗教別の構成比はキリスト教55%:仏教35%:イスラーム教10%となっている。29の宗教施設(キリスト教会22, 仏教寺院3, モスク4)、46の教育機関(小学校13, 中学校4, 高等学校5, 高等専門学校2, 神学校4)と10の無料医療機関(総合病院2, マラリア療養所4, 婦人科医院1, 身体障害者療養所3)のほか、電力網や上水道網(一部区画は井戸)が整備されている。これだけあれば難民がライフラインに困ることはなさそうだ。

区域内の各種学校では、NGO団体の職員または難民自身が、英語をはじめ歴史や理科などを教えている。タイ語の授業はタイ人講師が慢性的に不足しているため実施されていない。難民のほとんどがカレン語(ビルマ語と文字がそっくりだが文法から単語まですべて違う)を第一言語としているけれど、ビルマ語のほか英語やタイ語なども使われている。神学カレッジでは、社会学などの高等教育も行われている。

つぎに、キリスト教会の支援で運営されているカレッジ「カメソーレイ・カレン族浸礼派神学校」のシモン校長に話をうかがった。話題の中心はキャンプ生活でのエピソードだったけれど、いくつか興味深い話をしてくれた。

この難民キャンプは、標高778メートルのドーイパールー山の麓にあるため、国境のミャンマー側から放物線状の軌道で飛んでくるミサイルを回避するには絶好の立地条件という。しかし、1996年にはミャンマー軍がドーイパールー山を越えて攻め込んできたそうで、そのとき難民たちはタイ側の山(名称不明, 標高436メートル)へ逃げ込んだという。このときに虐殺された難民たちの墓所は、いまもその山頂付近にある。

昼食後、グループごとに分かれ、僕はカナダ人の学生と組んで健康・衛生面の問題についてを調査するため区域内にある病院へ向かった。

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ABOUTこの記事をかいた人

バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。