はじめてのペーパー返却

あまりの成績の酷さに憂鬱になる。

大学院生活初の難関となる「東南アジアの近代化・民主化・民族主義」の中間小論文(ペーパー)が返却された。寝る間も惜しんで書いたのに得点は30点満点中たったの12.5点だった。クラス最低点を記録したのではないかと不安になり、放課後に教室前で立ち話をしていたタイ人クラスメイトたちに点数を聞いて回ったところ、今回の得点は上下に2分化されているようで、僕は「下の上」あたりにいるらしいことを知って密かに胸をなで下ろした。

「この講座の単位取得は困難みたい。このままだとクラスの3分の1は落第確定ね」

英語が堪能な年配のタイ人クラスメイトに耳打ちされた。たしかに、これを挽回するためには学期末小論文で9割以上の得点を叩き出さないと単位を取得できない。限りなく非現実的だ。東南アジア諸国からの奨学金を得ている留学生たちの平均点は22点前後で、彼らが優秀かどうかは未知数だけど、さすがにそれなりの準備をして臨んだという。

その後、サヤームスクウェアにある語学学校「ブリティッシュカウンシル」へ行ってクラス分けテストを受けたところ、上の下のクラスに編入するように勧められた。スクンウィット11街路にある日系居酒屋「卯月」で友人と深夜まで話し続け、スクンウィット23街路にある歓楽街「ソーイ・カウボーイ」で娼婦売春婦相手に気が晴れるまで准教授の悪口を並べ立てた。

(数ヶ月後、この日に面会したラーチャプラーロップマンション在住の男により、2ちゃんねるに誹謗中傷の文言を書き込まれる)

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ケイイチ
バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。