タイ南部ドライブ 前編 西海岸ルート

気ままな旅には危険がいっぱい。

昨晩、日本から遊びに来ている中学時代の友人と話していたところ、タイ南部にあるビーチリゾート「プーゲット島」の話題になった。この友人とは以前アメリカ南部国立公園探訪ドライブ(総走行距離3,000キロ)を敢行したこともあって、当初冗談にすぎなかったこの話も翌日には実現した。

バイトのあと、スクンウィット13街路にある僕の部屋で待機していた友人と合流。スクンウィット19街路にあるデパート「ロビンソン」地下のスーパーで食料を調達し、タイスキ店 MK で夕食をとりながらこれからの走行計画を立てた。

このときにドライブの鉄則を無視して思い込みだけで走行計画を立ててしまったため、夜明けすぎまで悩まされ続けることになった。走行経路の地形なんか全く意に介していなかったし、「数字が小さい国道ほど整備されていて走りやすい」というのも思い込みにすぎなかった。

午後10時10分、スクンウィット19街路にあるデパート「ロビンソン」を出発。サムットサーコーン県を通る国道35号線=プララームソーング通り(ラーマ2世通り)を経由して、サムットソンクラーム県パークトーで国道4号線=ガーンヂャナーピセーク通りに合流。11時半にペッブリー県へ入り、翌30日午前零時10分にプラヂュワップキーリーカン県の県境を越えた。

ところが、チュンポン市で国道41号線と分岐する交差点を右折してそのまま国道4号線を走り続けると、それまで片側2車線あった道路が片側1車線になった。さらにインドシナ半島を南北に走るグラ地峡を越える山道が続いたため60km/h以上の速度が出せず、加速度的に疲労が蓄積していくのとは裏腹に距離がまったく稼げなくなった。午前2時20分ラノーング県に入り、その後もミャンマー国境から東に数kmのところを走り続け、いくつもの検問に遭遇しながらもゆっくりと南下を続けた。

村の沿道には野良犬がウロウロしていた。そのため野良犬を轢き殺さないように注意深く運転する必要があり、さらに疲労が蓄積した。実際にほかのクルマに轢かれてグチャグチャになっている犬の死骸を3体見つけ、生きている猫1匹を危うく跳ねそうになり、さらに何台ものクルマに踏まれ跡形もなくなっていた犬の死骸1体を踏みつけた。

午前5時半には力尽き、周辺に町といった町もないミャンマー国境から10kmも離れていない僻村の道路脇にクルマを停めて、窓を開けたままグッスリ寝込んでしまった。

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ケイイチ
バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。