中古車購入 前編

気軽に外出するためにクルマがほしい。

バンコク都内にある日本人が行きそうなところなら、たいてい高架電車(BTS)で行くことができる。バンコクの路線バス網は充実しており、高速道路を走る路線もあるほどで、どんな辺鄙な郊外でも60バーツもあればたどり着ける。もし面倒になってタクシーを使っても600円を超えることはまず考えられない。

しかし、公共交通機関を使うためにはタイの炎天下を駅やバス停まで移動しなければいけないし、タクシーだと毎回初乗り料金(35バーツ)がかかってしまう。それでも費用や手間を理由に自室に引きこもるのはイヤだからクルマを買うことにした。

タイにおける新車の販売価格は日本のおよそ1.5倍と法外に高い。当然、中古車価格も高く、6年落ち(1997年式)のホンダ・シビックで550,000バーツ前後、ホンダ・アコードや日産セフィーロで450,000~550,000バーツもする。かりに自動車の購入のために500,000円(150,000万バーツ)の予算を用意したところで、19年落ちのトヨタ・カローラぐらいしか買えない。

中古車価格のあまりの高さにイライラを募らせながら中古車情報誌を眺めていたところ、欧州車の価格表が目に入った。7年落ち(1996年式)のアウディーA4が550,000バーツ前後、8年落ち(1995年式)の BMW 318i が600,000バーツ前後だった。日本では高価で贅沢品とされていた欧州車が、ここでは日本の大衆車と大差ない価格で取引されている。

タイでは故障の頻度や補修の費用を考えれば日本車が一番と言われているけれど、日本の大衆車にバカ高い金を払うのも癪なので、思い切って BMW 318i に絞って調べてみた。

きょうはラッチャダーピセーク通りに密集している中古車屋をひとつひとつ見て回り、10店舗ほどまわったところでボディーが新品同様にキレイな BMW 318i を発見した。交渉後の価格は620,000バーツで、手付金20,000バーツでそのクルマを押さえた。今月20日までに全額支払う必要がある。

ほかの中古車屋では、アイドリング時のエンジン回転数が不安定なものや、排気ガスのニオイがひどいものが平気で売られていた。ある店では店員が事故車を無事故と偽って売ろうとしていたから、「事故歴があると分かった場合には全額返却してくれますか?」と聞いてみたところ、あっさり断られた。中古車を買うときには、クルマより前に、まずは信頼できる中古車屋を探すことから始めたい。