カリフォルニア州内のカジノ (LA留学生日記より)

ネバダ州にあるラスベガスはカジノ発祥の地として知られているけれど、現在アメリカではほとんどの州でカジノ施設の設置が認められている。しかしカリフォルニアは数少ないカジノ非公認州で、連邦法(州法に拘束されない)で認められている原住民居留地を除く州内全域でラスベガスにあるようないわゆるカジノ施設の設置が禁止されている。

ところがロサンゼルスの郊外へ行くと州間高速道路沿いにラスベガスさながらの派手な看板でカジノであることをアピールしている施設がたくさんある。カリフォルニア州法では「カジノ施設 vs カジノ客」の賭博が禁止されているだけで賭博行為そのものは規制の対象になっていないため、カジノ施設側は「カジノ客 vs カジノ客」という新しいタイプのカジノを開発したようで、これなら客もネバダ州までわざわざ行く必要がない。

しかし、2003年7月1日付日記「カジノめぐり」に書いたペイアウト率(掛金に対して期待できる報酬の割合)については、ブラックジャックの場合だとラスベガス標準ルールの98%に対して78%(日本の公営ギャンブル並)と著しく不利なルールとなっている。新しいタイプのカジノ(客対客)におけるブラックジャックのルールはつぎのとおり。

カリフォルニア州法では施設側の従業員がゲームに参加することが禁止されているため、ディーラーはカードを配ってテーブルの上にある掛金を客の勝敗に応じて配分するだけの役割を担っている。しかし「親」(ラスベガス標準ルールならディーラーが担当する)がいないとゲームとして成立しないため、客のうちひとりがディーラーの役を代行する。

このルールではカジノ施設が適正な利益を得られないため、コマース市(ダウンタウンLAの南東8.1マイル, 13分)にあるコマースカジノでは、遊戯料として1ゲームごとにディーラー役の客からは2ドル、プレイヤーの客からは1ドルずつ徴収している。つまりプレイヤーとして5ドル賭けた場合には遊戯料として施設側に1ドル取られるから、勝敗に関わらず1ゲームごとに20%ずつ損耗を繰り返していくことになる。

ここの客は世界一の賭博好きとして知られている中国系がほとんどで、施設の内装も中国人が好きそうなデザインだった。スロットマシーンがないため店内で聞こえてくる音はガチでプレイしている中国人たちが鳴らしているチップの音ぐらいで、ラスベガスのような壮麗さはなくリゾート気分を味わうこともできない。

きょうは高校時代の友人とコマースカジノへ行ってみたけれど、ルールがあまりにも不利だったため1ゲームもプレイせずに帰ってきた。

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ケイイチ
バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。