ある日本語専攻学生の苦悩

「もう日本人が嫌いになってしまいそう」

授業終了後、ヂュラーロンゴーン大学文学部のボーロムラーチャグマーリー館前にあるベンチで日本語学科の学生がたどたどしい日本語で話していた。この学生は日本語を話す機会を少しでも作るために、これまで日本人の友達を増やす努力を惜しまなかった。ところがバンコクに住んでいる日本人なら誰でも想像できるような「ありがちな問題」に直面して苦悩している。

タイの女子学生たちはバンコク在住日本人による強引なアプローチに日々悩まされているという。まっとうな生活をしている女子学生たちに対して、バンコク在住の一部の日本人男性たちは売春婦に1,500バーツを払うかのような感覚で傍若無人なアプローチを仕掛けている。もはや文化や価値観の違いという次元の話ではない。

こうした背景には、平均的なバンコク在住の日本人男性とタイ人女性のあいだにある特殊な人間関係がある。バンコク在住の日本人男性が関わっているタイ人は娼婦ばかりで「娼婦の教育レベルでも十分対処できるレベルの内容」の会話しかしていないため、どんなタイ人女性でも簡単にゲットできると思い込んでいる人も少なくない。その思い込みがさらに激しくなると、すべてのタイ人女性が娼婦のように見えてくるというのだから目も当てられない。娼婦としか恋愛したことがないのなら同情してやっても良いけれど、街中で外国人から「キミいくら?」と聞かれて泣き崩れる女子学生たちの話を聞いているとホントウにいたたまれない気持ちになる。

タイ人の大学生はタイの教育システムのなかで子供らしく考えて行動するように訓練されているため、外国人による傍若無人な振る舞いに対する耐性はほとんどない。なかには日本人は狂っているという結論づけて、すべての日本人との関係を絶つ決意する学生もいるという。

バンコク在住日本人のひとりとして抑制的な行動を心がけたい。

先日来の家計難がついに限界点に到達していよいよ首が回らなくなった。財布の現金3バーツと銀行の貯金194バーツしかない。高架電車に乗ろうとしたけれど5バーツ足りなかったから友人に借りた。

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ケイイチ
バンコク留学生日記の筆者。タイ国立チュラロンコーン大学文学部のタイ語集中講座、インテンシブタイ・プログラムを修了(2003年)。同大学の大学院で東南アジア学を専攻。文学修士(2006年)。現在は機械メーカーで労働組合の執行委員長を務めるかたわら、海外拠点向けの輸出貿易を担当。